1着賞金5億円の有馬記念。ドウデュースには、勝てば秋の古馬三冠完全制覇の報償金2億円というおまけもついていて、それ以上に獲得賞金高で歴代最高という高みに到達できる名誉も大きい。
年明けからは種牡馬転向も決まっていて、その種付け料も勝った時と負けた時では違うという噂。そして当日は引退式もあつらえられており、7億円という価値以上に、勝って花道を、というシチュエーションが何よりも欲しい。
こうした大人の事情と、今年最高の馬券の売り上げのほとんどがドウデュース絡みになるという、とてつもない重しを背中に全部引き受けて乗る武豊騎手は、本当にすごい人だと思う。
秋2戦をケタ違いのパフォーマンスで連勝したのがドウデュース。普通なら反動が心配されるところだが、取材を重ねるほどに状態はビックリするぐらいいいことが伝わってくる。
「次がラストランという実感がわかないぐらい、馬の状態は今回が最高。磨き上げたわけでもないのに、毛ツヤはこの通りピカピカですし、食欲も旺盛。本当にこれで引退しちゃうの? ってぐらいのデキです」
と、前川調教助手。昨年を振り返れば、コースや距離に疑問符を挟むのもナンセンスで、論理的にドウデュースを本命にしない説を振りかざすのは無理と諦めることにした。
ただし、馬券をどう買うかは自由だ。ましてや有馬記念。今年はダノンデサイルから夢を買うことに決めた。菊花賞で1番人気を裏切る形になったが、手際よく好位を取った後に行き場がなくなり、最後方まで下げさせられる致命的な不利。後でレースを見直すと、あの窮地から6着まで巻き返したのだから、さすがはダービー馬だ。
ディープインパクトの三冠がかかった菊花賞でも、単勝100円戻しの大本命を当時6番人気の伏兵アドマイヤジャパンで、何とか負かす方法はないかと策を練っていたのが横山典騎手だった。不発に終わるかどうかは時の運で、夢馬券はその闘志に張り込んでみるのもありだろう。
前走10着で大きく株を下げたローシャムパークは、BCターフ2着で健在をアピール。鞍上マーカンドも魅力的で、3番手に抜擢。
レースでは常に不利に見舞われているレガレイラは、人気も薄くなってきたこともあって、そろそろ力が出せそう。中山巧者とみて、4番手に評価。
シャフリヤールも、ウップンがたまる近況だが、ダービー馬であることを忘れてはいけない。鞍上C・デムーロでは大崩れがないし、人気以上には来そう。
数あるお手馬からルメールが選択したアーバンシックは押さえて当然だし、昨年2着のスターズオンアースも川田なら侮れない。