夏特有の症状だと思われがちな「脱水症」。しかし、冬場も夏同様のリスクがある。特に気をつけたいのが「隠れ脱水」だ。これは脱水症の症状が見られる一歩手前の段階を指す。
頭痛や倦怠感、手足の冷えなどの自覚症状が現れたら「隠れ脱水」の可能性がある。冬も、夏と同様に、脱水のリスクに気をつけなければいけない季節なのだ。
最大の原因は乾燥だ。冬場は乾燥する季節。皮膚からの水分蒸発は乾燥で失われることが多い。しかし、冬は夏より喉がさほど渇かないため水分補給を怠り、知らずに脱水症状に陥っていることがある。
特に、冬場の乾燥は、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスといったウイルス性の感染症にもつながる。これらの感染症にかかると、発熱や下痢、嘔吐で体内の水分が大きく失われることもある。
「隠れ脱水」を放置しておくと、血液中の水分量が減少して、脳や心臓の血管に血栓ができやすくなる。脳梗塞や心筋梗塞といった重大な病気のリスクも高まるため十分な注意が必要なのだ。
対策は、やはり夏場と同じく、こまめな水分補給である。特に、高齢者は喉の渇きなどを感じにくくなるため、意識的に水分を取る必要がある。スープやお茶、ヨーグルトなども適度に水分を補えるため、水以外の食材も積極的に摂取しよう。
冬場は電気毛布など温かな寝具を使いがちだ。すると、想像以上に寝汗をかき、体内の水分が睡眠中に失われている。起床後の水分補給も忘れずにしたい。室内の乾燥を防ぐことも重要だ。加湿器の使用や洗濯物などの部屋干し、換気などによって、皮膚からの水分蒸発を防ぐことが可能だ。保湿クリームなどの使用で肌の乾燥を防ぐこともポイントだ。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。