アサ芸読者の皆さん、こんにちは! 川上麻衣子です。今回の年末年始は最大で9連休の方もいらっしゃるのだとか。いつもよりゆっくり起きて暖かいこたつに入ってクーッと一杯! って最高ですよね。
私もいっちゃいますよ、ク~ッと冷やで! ビールじゃなくて日本酒でね。よく驚かれるんですけど、私の場合「とりあえず、日本酒で」っていうのが常なんです。夏場はもちろんですが、冬の寒い時期でも冷やで飲みます。おすすめは石川県の「天狗舞」。飲み口が軽快でしっかりした旨みと後口のキレがいいお酒です。アテには塩味のあるなめろうとか。あれでちびりちびりとやるのがもう至福のひと時ですね。
一昨年、吉田類さんと「にっぽん百低山」(NHK)で一緒に山登りをさせていただきました。類さんといえば、お酒をこよなく愛す通称・酒場詩人。酒好き、酒場好きな人でこの名を知らない人はおりません。その類さんと福岡県太宰府にある「宝満山」と大分県国東市の「両子山」と二つの山を登ったんですが‥‥。
私、百低山を甘く見てました(苦笑)。百名山になると登山道が作られていたりするそうなんですが、百低山と呼ばれている山は道がなくてかなりハード。しかも、ロケの時に豪雨はあるわ、登れども登れども先の見えない石段が続くわで、もう足腰ガタガタ。でも、頂上に着いた時のあの達成感は何ともたとえようのない爽快な気分でした。それに、下山した後の類さんとの乾杯が、これまた疲労困憊だった体にじわっと染みわたって(笑)。こんなおいしいお酒が飲めるなら、また山登りに挑戦してもいいかな、なんて思いました。
豊かな人生を送る類さんの生き方は私も目指したいところ。他にも粋な飲み方をするなぁと印象に残っているのが石倉三郎さんです。石倉さんの奥様は下町の元置屋だったところで割烹料理店を経営なさっているのですが「麻衣子ちゃん、本当の酒飲みってのはさ、これが嫌なんだよ」って、お猪口を口につけて首を上げる仕草をするんです。真の酒飲みはいちいち首を上げたり下げたりするのも面倒で、やっぱりいきつくところ盃だと。時代劇でもよく見かける盃って平らじゃないですか。首を振るんじゃなくて横にスッと飲む。
石倉さんのこの発言は「なるほど!」と思いましたし、粋でカッコいい飲兵衛だなぁって思いましたね。
反対に下衆なお酒の飲み方をする方というのもいらっしゃいます(苦笑)。バブル期に割と見かけた光景なんですが、「この店で一番高いワインを出せ!」という‥‥。
当時、藤村俊二さんが青山でワインバーをやっていらしたんですが、私、そこが好きでよく通っていたんです。地下みたいなところにおひょいさん(藤村)の部屋があって、そこで安価でも本当においしいワインを飲んでいたところ、カツーンカツーンと靴の音を響かせ、席に座るなり「一番高価なやつ!」って。私はそういうの、苦手なんですよね。
そんな私が50代も終盤にさしかかった頃、暮らしに大きな転換を迎えました。
まず変化したことと言えば、実家の断捨離を行ったこと。90代の父、80代後半の母が長年暮らした集合住宅は団地ブームが最高潮だった1966年にできた建物なんですけど、思い切って売却しました。そこまでがもう大変。両親共にインテリアデザイナーということもあって、とにかく資料の書籍が多くて。読者の皆さんでもご両親が健在という方だったら同じ思いをされていると思うんですが、やっぱり物を取っておきたい世代なんですよ。お皿一枚にしても、手にした母がその品への思い入れを語り出しますしね。
そうした思い入れの深い物は手元に残したり倉庫に保管したりしておきました。これがもし、亡くなった後だったら、私一人ではとてもつらくて手放す決断にまで至らなかったと思います。例えば押し入れの奥にあったパンダのぬいぐるみ。小さい頃に買ってもらったもので、それこそ黒ずんでへなっとしていたんです。だけど、耳を触ったら鳴ったんですよ。「キュッ」って。だから捨てられなくって(笑)。丁寧に洗って窓辺に飾っています。
そして私が今、女優としてのお仕事の他に力を注いでいるものが、人と猫の共生を目指して18年に立ち上げた一般社団法人「ねこと今日」。最初は猫を飼っている人がちゃんと獣医師さんなどから専門知識を得てもらいたいという気持ちで始めたんです。保護猫の譲渡会をやっている団体さんともつながって、月に2回ペースでうちのサロンで譲渡会を開いています。ここからご縁あって新しいご家族の元へと譲られた猫は1000匹を超えました。
ペットを飼ったことがある人なら誰もが経験するお別れという問題も。
元気いっぱいに癒やしを与えてくれたペットが旅立つ時、飼い主は何をしても悔いは残るものです。この先、ペットの看取りやペットロスになる方の人数はもっと増えてくるでしょう。そこで、少しでも飼い主さんの心が軽くなるように自分にできることはないだろうかと思って、今はペットが万が一、心肺停止状態になった場合にできる蘇生のやり方などを、専門家に教えてもらう講義を開いています。
えっ、女優のお仕事で挑戦したい役どころですか?
やっぱり年相応、白髪も生かせればいいなと思いますね(笑)。「迫田八重子に孫ができた!」とか、金八先生時代から応援してくださる方に等身大のお芝居で自分自身を表現していけたらうれしいですね。
川上麻衣子(かわかみ・まいこ)1966年、スウェーデン生まれ。80年デビュー。同年ドラマ「3年B組金八先生」(第2シリーズ)の出演で脚光を浴びる。10代で衝撃のヌード写真集を発売、その後「うれしはずかし物語」(88年)、「一枚のハガキ」(11年)など多数映画に出演。現在は東京・千駄木で北欧セレクトショップ「SWEDEN GRACE」を経営。