テリー トレンディドラマの女王と言われていた頃ぐらいですか。浅野ゆう子を世の中が再認識したのは。
浅野 そうですね。トレンディドラマとの出会いは私にとってすごく大きなチャンスをくださいました。
テリー あの頃ってトレンディな女だったの?
浅野 いや、全然(笑)。
テリー 浅野温子さんと「W浅野」で、時代の最先端を行く女性のイメージだったじゃないですか。
浅野 あれは戦略勝ちですよね。フジテレビの方が、同じ名字だし、年齢も一緒だから「W浅野」でやってみようって考えてくださって。そういうところがすごくフジテレビさんは上手だったんじゃないかと思いますね。ドラマ(「抱きしめたい!」)の設定も小さい頃からの幼馴染み、同級生っていう役柄で、東京に出てくれば、おうちにカラオケがあって、コロナビールにライムを刺して飲むみたいなおしゃれな生活ができるんだって、皆さん思ったみたいですよ。でも本人たちは決してそんなことなくてですね。うちにカラオケなんかないし。
テリー リビングもすごく広くてね。
浅野 屋上にプールが付いてたり。ありえないですよね(笑)。
テリー ゆう子ちゃんってデビューした頃、中野あたりのワンルームに住んでなかった?
浅野 住んでました。高校が堀越でしたから。徒歩で学校へ行けるように事務所が決めてくれたんです。
テリー そうだよね。俺、行ったことあるんだよ。
浅野 ホントですか? うちに? 何で?
テリー 覚えてないでしょう。「浅野ゆう子の家に行く」っていうロケで行ってるんですよ。あの頃はヒドいよね。個人情報も何もない。
浅野 ありませんでしたねぇ。
テリー じゃあ、あれも覚えてないでしょう。新曲のプロモーションで番組に来てもらってさ、タライにドジョウが入ってるの。
浅野 それは覚えてますよ。
テリー 覚えてる? 鉄棒にぶら下がってもらうと、その鉄棒が上がっていくんだよね。そうしたら、ゆう子ちゃんの足の下にドジョウが入ったタライをスッと入れるんだよ。
浅野 それで歌を歌わされたりとか。ムチャクチャですよ、昔の番組(笑)。
テリー 俺、そんな番組の演出ばっかりやってたんだ。
浅野 (笑福亭)鶴瓶さんなんて、金魚を飲んだりしてました(笑)。
テリー アハハ。だから、ゆう子ちゃんとは意外に昔からのドジョウ仲間なんだ(笑)。トレンディドラマより前だから。
浅野 全然前ですよね。
テリー でも役者になってよかったよね。色々な役に挑戦できて、賞もたくさん獲ってさ。じゃあ、役者一本にして、30代、40代はどんな感じだったの?
浅野 30代はテリーさんもご存知のように、バブルが崩壊したと言いながらもまだ続いてましたので、もうイケイケゴーゴーで40歳まではトレンディドラマをはじめ、映画の仕事も頂戴したり、いろんなことにトライさせていただける機会をいただきました。
テリー そうだよね。
浅野 で、40歳になった時に、トレンディドラマを制作したフジテレビさんからヒールをやらないかってオファーをいただいたんですよ。今までヒロインだったのに、いきなりヒールっていう発想の転換を私にぶつけてくださるのは非常にありがたいことだし、心惹かれるものだったので「大奥」という作品に出させていただいて。舞台化もされ、それで40代は過ごさせていただいたようなところがあります。
ゲスト:浅野ゆう子(あさの・ゆうこ)1960年、兵庫県神戸市生まれ。1974年、「とびだせ初恋」で歌手デビュー。1974年、「太陽にほえろ! 」(日本テレビ系)で俳優デビュー。1976年、8枚目シングル「セクシー・バス・ストップ」がヒット。80年代末から俳優としてドラマ「君の瞳をタイホする! 」「抱きしめたい! 」(共にフジテレビ系)などに主演。「トレンディドラマの女王」として、浅野温子と「W浅野」と呼ばれる。1995年、映画「藏」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞。その他の主な出演作に「ハートに火をつけて! 」「大奥」(共にフジテレビ系)、大河ドラマ「功名が辻」(NHK)など。1月18日(土)大阪・心斎橋PARCO「SPACE14」、26日(日)東京・有楽町「I’M A SHOW」にて「YUKO ASANO 50th ANNIVERSARY SHOW『KANSYA』」開催。