ついにセ・リーグの7月、8月の屋外球場デーゲームが消滅した。夏場の屋外デーゲームについてはこれまで、プロ野球選手会の広島・會澤翼会長が「もう昔とは気候が違う」として、ナイターでの開催を12球団側に提案。チームの選手会長である堂林翔太も、暑さ対策の日程考慮など20~30項目の環境改善を求めていた。
これにはファンと選手に深刻な影響を及ぼしたという背景がある。例えば2023年9月2日と3日にマツダスタジアムで行われたデーゲームの中日戦は、気温35度の酷暑の中、スタンドのファンが何人も熱中症で倒れ、救急車で搬送される緊急事態が発生。昨年9月7日と8日の中日戦も36度を超える気温の中で試合が行われ、体調不良を訴えるファンが続出した。
そしてあの「世紀の大失速」である。優勝戦線にいた広島は昨年9月に入ると、月間20敗という歴史的な屈辱でAクラスどころか、あっという間に4位へと沈んでいく悪夢を経験。夏場の酷暑ゲーム続きで体力を削られ、溜まりに溜まった疲労が一気に爆発したから、との分析があり、チーム内からもその悪影響を指摘する声があった。
そして今回のナイター移行。週末のデーゲームは興行面で有利なため、当初は選手会の要望が通るとは思われなかったが、NPBの英断に會澤会長は安堵したのではないか。
とはいえ、これで広島ファンが完全に納得しているかどうかはわからない。確かに7月、8月の酷暑試合は免れることになったが、9月13日から15日の3連休にマツダスタジアムで行われる試合のうち、13日の中日戦と15日のヤクルト戦は14時からのデーゲーム開催なのだ。15日は甲子園でも阪神×中日が14時スタートになっており、晩夏での熱中症が今から懸念されている。
年々気温が上昇する中、ファンとしては6月、9月もナイター開催してほしい、というのが本音。
まだまだ完全とは言えないが、まずは今季の日程変更で事態がどれだけ好転するか、検証する必要がある。
(ケン高田)