FA権を行使してオリックスに移籍した九里亜蓮の補償として、広島が「金銭補償」を選んだ「答え合わせ」が明らかになった。
現在、広島の支配下枠は68で、残りはわずか2枠。外国人選手はモンテロら新加入の3人と、今季2年目を迎えるハーンの4人だ。鈴木清明球団本部長は今後の方針について「より戦力になる5人目の外国人を探す方針」と語り、あえて枠を埋めずに残すことを決断した。
確かに人的補償を選んでしまうと残り1枠となり、シーズン中に育成選手を昇格させるなどすれば、全てを使い切ってしまうことになる。現段階ではできるだけ、選択肢を残しておこうというわけだ。
そこで取り沙汰されているのが、メジャーリーグで正念場を迎えている、タイガース・前田健太の電撃復帰だ。
前田は広島で8年間プレーした後に渡米し、ドジャースの4年間で2ケタ勝利を3度マーク。その後、ツインズに移籍すると右肘を故障して、トミー・ジョン手術を受けた。昨季はタイガースで17試合に出場し、日米通じてワーストとなる3勝に終わっている。このまま結果を出せなければ、シーズン中にロースターの40人枠から外れる可能性もあるだろう。
もし前田が日本球界に復帰するとなれば複数の球団が名乗りを上げ、争奪戦になる可能性は高い。広島では2014年に黒田博樹がメジャーの高額オファーを蹴って、古巣の広島と契約。その「男気」に涙したファンは多かった。前田は全盛期を過ぎているとはいえ、巧みな投球術で2桁勝利の計算は十分に立つ。選手兼コーチとして、メジャーの経験を若手に伝える役割も期待できるだろう。
前田は2016年から2018年の広島セ・リーグ3連覇前にメジャー移籍しているため、まだ優勝を経験していない。入団3年目から二桁勝利を続け、孤軍奮闘でチームを牽引したが、残念ながら優勝には届かなかったのだ。それが日本球界復帰となれば、ぜひとも古巣で念願の優勝を果たしたいのではないか。
「九里亜蓮の人的補償は前田健太」
どうやら答え合わせができたようだ。
(ケン高田)