影武者を活用している指導者としてはこれまで、トランプ氏よりもロシアのプーチン大統領(72)の名がたびたび挙がってきた。
英国のデイリー・スター紙は、英国の情報機関「MI6(秘密情報部)」のエージェントの証言として「ロシア大統領のプーチンはすでに死亡しており、影武者が代わりをしている可能性がある」と報道している。米国ニューヨーク・ポスト紙もまた、プーチン氏が手術のために10日間も公務から離れることになった際に、「影武者が待機している」などと言及している。
「23年6月にプーチンは、イスラム教徒や少数民族が多く暮らしている旧ソ連のダゲスタン共和国を訪問し、群衆に歩み寄るシーンが公開されました。あの時のプーチンは影武者だったと言われています。プーチンがこれまでに発言をしているさまざまな動画を照らし合わせて、彼の声質やしゃべり方、イントネーションなどを解析したところ、すべてが完全には一致しなかったため、別人が紛れ込んでいる可能性は極めて高いと指摘する専門家もいます」(山田氏)
プーチン大統領が健康不安を抱えていることは明らかで、例えば長期入院して治療に専念していることを特定、断定されないためにも、影武者が公務を行っているケースは十分に考えられるというのだ。
「もちろん確固たる裏は取れていませんが、暗殺のリスクがある指導者や独裁者たちに影武者が存在するということは、これまでの歴史を振り返ってみても決して荒唐無稽な話ではないと思っています」(山田氏)
何かとその言動から物議を醸すトランプ氏はプーチン大統領同様、国内外にアンチが多い。過剰なまでのリスク回避の手段を講じていても当然と言えよう。
米国政府の内情に詳しい外務省関係者は、このように指摘する。
「米国の歴史をみれば、63年11月22日、当時、現役の大統領だったジョン・F・ケネディがオープンカーでのパレード中に銃撃され、即死するというショッキングな出来事がありました。歴史を繰り返すわけにはいきません。超大国である米国政府にとって自国のリーダーの命を守ることは、世界秩序を維持するうえでも必要不可欠で重大なミッションなのです」
時は、ロシアのウクライナへの軍事侵攻、さらにトランプ氏が米国大統領に再就任したことで台湾有事がよりいっそう現実味を帯びつつある。そんな中で、
「万が一、トランプが凶弾に倒れるようなことがあったら、それは国際情勢におけるパワーバランスを大きく揺るがし、最悪の場合、第三次世界大戦の勃発も招きかねません。その一方で、大統領就任後は、さまざまな国々への外遊が予定されています。米国内だけではなく、特に暗殺の可能性が想定され、リスクが高い中東や中南米の国や地域を訪問する際には、1つの手段として影武者が鋭意出動することは想定できます」(外務省関係者)
思えば日本でも近年、22年7月に安倍晋三元総理が銃撃テロで暗殺されている。身代わりの犠牲者が出ることは好ましくないが、当時、影武者という概念はなかったのだろうか。
「そもそも安全神話のある日本では、最悪でも刃物や銃での狙撃を想定していて、従来のSPさえいれば事足りるという考え方でしょう。ところが軍事大国ともなれば、ロケットランチャーでも持ちだされたらSPだけでは到底、対処できないのです」(政府関係者)