ところで影武者を演じるには、当人と酷似した人物たちが選ばれ、特殊メイクも施されるという。トップシークレットの存在として生活も大幅に制限される以上、多額の報酬が約束されるのも当然だろう。複数人が暗躍するのは、同時間帯に別の場所での目撃談が流布されることでの「かく乱」が目的のようだ。
米国政府がその気になれば、いくらでも精巧な影武者を生み出すことはできると、外務省関係者は断言する。その根拠として、イラン革命を機に多くのイラン国民が暴徒化する中、79年に起きた米国大使館占拠事件を挙げる。
「同事件でCIAは、イラン国内から逃げ遅れた米国の外交官6人を映画関係者に変装させて脱出させるという、まさにスパイ映画さながらの作戦を決行して見事に成功させた。この実話をベースに『アルゴ』という映画も公開されましたが、現在に至るまでCIA史上、最もありえない救出作戦として語り草になっています。CIAの特殊メイク、変装の技術のノウハウは今日に至るまでアップデートされ続けている。また前大統領のバイデンと比較しても、トランプのほうがしゃべり方やジェスチャー、体型などにより特徴があり、彼のマネは容易なので、影武者を作りやすいという側面もあります。脈々と受け継がれるCIAのリソースをフル活用すれば、いくらでもトランプの影武者は作ることができるのです」
つい直近でも、公に姿を現したトランプ氏の真贋が話題になっていた。山田氏が指摘する。
「昨年11月19日、テキサス州においてイーロン・マスク氏が手がける『スペースX』が開発する大型宇宙船の試験飛行が行われた際、ネイビー色のスーツを身にまといトレードマークの赤いキャップを被ったトランプの姿がありました。日本のテレビや新聞でも報道されましたが、米国内では『いつも見ているトランプとは少し様子が違っていた。影武者だったのでは?』という声が上がっていたんです。例えば、たくさんのVIPに囲まれるなど、注目がトランプに一極集中しないケースで、影武者の適性をテストしている可能性は否定できません」
昨年12月にトランプ氏は前述した故・安倍元総理の夫人・昭恵氏をフロリダ州にある自宅に招き、ミートローフを振る舞ったとされる。その夕食会で撮られたトランプ氏、メラニア夫人、昭恵氏の3ショットの写真は、夫人のX(旧ツイッター)に投稿されているが、これも影武者だったというのである。
「このサプライズ面会に日本の外務省はまったくかかわらず、駐米日本大使館もまったく把握していなかった。政府関係者の中には、『新駐米大使は昭恵さんこそふさわしい』との声まで出た。一見すると、それほどまでに安倍元総理とトランプの関係が親密だったことを思わせますが、そもそもトランプは80年代の貿易摩擦の際に実業家として『日本をぶっ潰す』と口にしていたほどの反日主義者です。安倍元総理とはあくまでカウンターパートナーとして友好関係を築いていただけで、今回も悲運の未亡人にエールを送る程度のパフォーマンス以上の意味はないと思われます。そればかりか、同じ12月に会談を果たした孫正義氏の前に立ったトランプも偽者だったと言われている。大統領再就任後に備えた影武者のテストだったのではないでしょうか」(外務省関係者)
入念なテストをクリアしてか、トランプの「影武者プラン」はますます進化を遂げているようである。山田氏が語る。
「ご存知の通り、米国には世界トップレベルの生成AIの研究者たちがたくさんいます。今まさに日進月歩の勢いで、AIの技術は発達を続け、精度を増している。そんな最先端の生成AIの技術を活用すれば、サイバー空間上に姿形や声質はもちろんのこと、思考回路まで、自分とうりふたつのクローンを量産することが容易にできます。昨年の大統領選でもトランプ陣営は、インターネットを駆使したSNS戦略が民衆を大きく動かすということを熟知しており、SNS戦略に非常に長けている。現在78歳のトランプは、今後いっそうの老化が進み、体力も衰える一方です。つまり、常に健康リスクを抱えた中で公務を行うことになります。トランプ陣営は本人の負担を少しでも軽くするべく、生成AIトランプ、クローンの活用についても検討しているはずでしょう」
すでにトランプ氏は、石破茂総理(67)との会談を行う調整をしている。果たして現れるのは、本物なのか、それとも5人の影武者のうちの1人なのか‥‥。