「歴史の中で最悪のチームかもしれない」
悲観的な表情で現状を嘆くのは、プレミアリーグ(イングランド)の名門マンチェスター・ユナイテッド(以下、マンU)のルベン・アモリム監督である。
成績不振のチーム再建を託され、2024年11月に指揮官に就任したものの、1月20日の第22節ブライトン戦は1-3で黒星。新体制になってから3勝2分6敗の13位とドロ沼の状況で、三顧の礼で迎え入れられたにもかかわらず、早くも解任の足音が迫っている。
サポーターからは選手にも怒りの矛先が向けられ、ターゲットにされているのは、カメルーン代表のGKアンドレ・オナナだった。
90分間、集中力を保つことができず、凡ミスから失点に絡むシーンが増加。不安定なプレーを続ける正守護神の信頼は、試合のたびに失墜している。
そんな中、救世主として浮上しているのが、日本代表のGK鈴木彩艶だ。浦和レッズ時代は正GK西川周作の高い壁に阻まれ、ベンチが定位置に。それでも恵まれた体と身体能力の高さを買われ、2023年にマンUがオファーを出したことがあった。
しかしこの時は同じタイミングで、オナナを獲得。ポジション争いをすればベンチ入りすら危ぶまれるため、ビッグクラブのオファーを断ってベルギーのシント=トロイデンに移籍している。
そこで水を得た魚のように躍動する彩艶の活躍が認められ、翌シーズンにはセリエA(イタリア)のパルマに移籍した。サッカーライターが解説する。
「開幕前は戦力的に厳しい戦いが予想されましたが、彩艶がビッグセーブを連発。残留争いを続けるチームの大黒柱になっています。パルマに移籍してからわずか半年でメキメキと実力をつけ、今ならオナナとポジション争いをしても奪えるともっぱら。なんならマンUはすでにオナナに失格の烙印を押し、彩艶に再オファーをする準備に入った、という話も浮上しています」
ホップステップジャンプで、ついに「赤い悪魔」の仲間入りなるか。
(風吹啓太)