ワシントン・ナショナルズと2年契約を交わした小笠原慎之介が帰国し、古巣のナゴヤ球場で自主トレを行った。柳裕也、高橋宏斗ら元チームメートと談笑するなど、終始明るいムードだったが、ナショナルズでのスプリングキャンプは「いきなりの試練」に見舞われそうだ。
ナショナルズは昨季、ナ・リーグ東地区4位。2019年にワールドシリーズ制覇を果たしたが、それ以降は低迷している。現在はチーム再建の過渡期にあり、先発投手は揃っているため、小笠原はローテーション入りできない可能性が高い。
ディラン・クルーズ、ジェームズ・ウッド、マイク・ソロカ、マッケンジー・ゴア、ジェイク・アービンらの先発ローテーション入りが予想されており、球宴出場経験のある右腕ホルヘ・ロペスも、このオフに加入した。小笠原は複数の若手投手と「最後の1枠である5番手」を争うことになる。
編成責任者のマイク・リゾGMは「投手は何人いても困らない」と地元メディアに語り、小笠原のローテーション入りを期待するコメントを出している。しかし、地元放送局MASNは「小笠原はロングリリーフではないか」と予想する。現地ジャーナリストの分析はこうだ。
「メジャーリーグでは縦の変化球を操る左投手が少なくなってきたので、小笠原を先発で使えば、結果を残してくれると思います。それでも交渉期日のギリギリまで契約が決まらなかったのは、奪三振率の数値が低いからだと言われていますね」
地元放送局MASNも、小笠原より22歳のクルーズに期待していた。しかし、こうも報じている。
「2019年のワールドシリーズ制覇後、チームは低迷している。期待の若手もいるが、うまくいっていない。(小笠原は)チームに刺激を与えられるのではないか。賢いギャンブルだ」
繰り返し語られていたのは、奪三振率がMLB平均値よりも低いこと。しかしその投手が結果を出せば、チーム再建が進まず、雰囲気も良くない状況を打破できるのではないか、というわけだ。
小笠原はスプリングキャンプ初日から「どんなピッチャーなんだ?」と好機の目に晒されるだろう。中日ではスロー調整が許されたかもしれないが、キャンプ序盤から「実戦OKの投球」を見せなければならない。
(飯山満/スポーツライター)