大相撲の元時津風親方がニセの「駐車禁止除外指定車標章」を悪用したとして逮捕されたのは2月26日のことだった。実は同じ日、大阪市の会社員も駐車禁止除外の標章を不正使用して逮捕されている。
元時津風親方の坂本正博容疑者は2月5日に、東京都墨田区両国の路上で自分の車のダッシュボードに、他人名義の「駐車禁止除外指定車標章」を置き、違法に駐車した疑いが持たれている。
「駐車禁止除外指定車標章」は体が不自由な人などに交付されるもので、車内に掲示することで駐車禁止区域に駐車しても規制の対象外となる。坂本容疑者は容疑を認め、「知人のものをコンビニでコピーした」と話しているという。
先の会社員が逮捕された大阪では、繁華街ミナミに、駐車禁止除外指定車標章の不正使用が多いことで知られる道路がある。在阪記者が説明する。
「大阪のキタとミナミをつなぐ幹線道路のひとつである堺筋です。大阪メトロ長堀橋駅から近鉄日本橋駅までの900メートル間のエリアでは、昼夜を問わず数十台が路駐しており、半分以上が『駐車禁止場外指定車』と記された標章を掲示している。このあたりはキャバクラやホストクラブが多く、特に夜にはそういう車が目立ちますね」
その標章はいったいどこで手に入れるのか。手口は様々だ。
「これまで摘発された人物の例では、家族や知人の標章、またはそのコピーを使用したり、SNSを通じて入手したケースがあります。ニセモノを売買するブローカーが存在するともいわれますね」(前出・在阪記者)
不正使用の横正によって、正しく使っている障害者までが疑いの目で見られてしまう。さらなる摘発の強化が望まれる。
(鈴木十朗)