広島カープがオープン戦4連敗を喫した。「一矢を報いた」と言えるのかどうか分からないが、3戦連続での完封負けだけは防いだ。4番・一塁で出場したモンテロにソロ本塁打が出て、34イニングぶりの得点となったからだ。
敗因は「打てない」のひと言に尽きる。モンテロが打率3割7分5厘と好調なことだけが救いだ。
広島は練習量の多いキャンプを送っていた。それも打撃練習に時間を割き、全体練習の最後には約1時間の素振りやティー打撃を行い、「終了」の合図とともに座り込む選手がいたほどだ。
「これは新井貴浩監督の方針です。昨季のチーム打率2割3分7厘は、リーグワースト。若い選手が多く、『汗をかかないと覚えられないことがある』と言って、新井監督は徹底的にバットを振らせました」(スポーツ紙デスク)
キャンプ終了後のマツダスタジアムでの練習でも、ロングティーや連続ティーなど、キャンプと同じメニューを強行した。
「ここまでバットを振ったのだから」と期待する声は多かったが、オープン戦では走者を出しても「あと一本」が出ず、スコアボードにゼロを並べている。
「キャンプで猛練習をやったので、選手に疲れが出ているのかもしれません」
そんなふうにかばう声も聞かれたが、今後がいかにも心配になる。なにしろ、ケガ人も出ているのだ。
正捕手の坂倉将吾が右手中指の末端骨を骨折し、ドラフト1位ルーキーの佐々木泰も左足を痛めてしまった。坂倉の骨折はなぜかといえば、キャンプ終盤のノックの打球が直撃したためで、佐々木はオープン戦中の走塁中に激痛に見舞われたという。
どうやら、ハードな練習による疲労感が影響しているようだ。正捕手不在でのペナントレース突入は、マイナスでしかない。今は3年目の清水叶人が奮闘しているが、これ以上のケガ人が出たら、大ダメージだ。
「広島はすでに支配下登録の選手数が68人もいます。70人の上限まであと2人分が残っていますが、その枠がなくなれば、育成選手のモチベーションに影響してきます。交換トレードを持ち掛けても相手チームに足元を見られ、好選手を持っていかれてしまいます」(前出・スポーツ紙デスク)
投手陣の調整は順調だという。だが新井監督自ら指導に乗り出した打撃陣が不調で、さらにケガ人も出るとは、皮肉なものである。
(飯山満/スポーツライター)