「阪神世界一」…なんとも痛快なワードがXを席巻した。3月18日から始まる日本での開幕戦を前に、シカゴ・カブスとロサンゼルス・ドジャースを相手に、阪神が連勝。しかも連続完封勝ちという快挙だった。
3月15日のカブス戦、阪神の先発は門別啓人。昨年まで2年間で1軍未勝利だった20歳の左腕が、東京ドームのマウンドで躍動した。鈴木誠也をはじめ、昨年23本塁打で2023年には打点王とシルバースラッガー賞に輝いたタッカーや、同じく昨年25本塁打のハップなど、強打者が並んだカブス打線を相手に1人のランナーも許さない、5回パーフェクト投球。
衝撃の内容に、アメリカの野球ファンがXで反応。〈門別をシカゴに連れて帰ろう〉〈カブスは門別と契約すべき〉といったポストが並んだ。
6回以降に登板した中継ぎ陣もカブス打線を封じると、打線がカブス投手陣を攻略。近本光司、前川右京、佐藤輝明のタイムリーが飛び出し、3-0でねじ伏せたのだった。
翌日のドジャース戦は、4月1日の本拠地開幕戦での登板が決まっている才木浩人が先発。1回表、世界中が注目する対決がいきなり実現した。大谷翔平とのマッチアップだ。
一昨年3月のWBC強化試合で対決した際には、大谷からバックスクリーン右に着弾する本塁打を食らっている。カウント1-2から決め球のフォークを、左膝をつきながらもスタンドまで運ばれるという衝撃の一打。才木はベンチ裏で悶絶して悔しがっていた。そして今回、同じフォークで大谷を三振に仕留めたのだった。
才木は大谷の次の打席も中飛に抑え、5回を1安打7奪三振と完封。打っては佐藤が四回無死一・三塁からドジャース先発スネルの152キロ速球を捉え、ライトスタンドに陣取った阪神ファンの中へ放り込んだ。
そこで出たのが、冒頭の威勢のいい言葉だった。なにしろ昨年世界一のドジャースを3-0で撃破したからで、「世界一のドジャースに勝った阪神が世界一」なのだと…。
投手陣は先発も中継ぎも層が厚いのは、昨年と同様。佐藤、森下翔太、大山悠輔の並びになったクリーンアップはどう機能するか。この勢いが本物ならば、阪神は今年も優勝争いを演じることになろう。
(石見剣)