阪神投手陣が東京ドームで行われた「MLB東京シリーズ by Guggenheim」で、カブスとドジャースに連続完封勝ちしたが、とりわけドジャース戦に先発登板して5回1安打7奪三振の才木浩人には、米メディアが「ネクスト メジャーリーガー」と称賛して熱視線を送っている。どころが、こんな情報があるという。
「いや、実は一昨年のペナントレース後半から、才木目当てで球場入りするメジャースカウトが確認されています。メジャーリーグの側からすれば、才木の好投は予想通り。大谷翔平を2打席凡退に仕留めたことで、才木への評価は上方修正されたと思われます」(アメリカ人ジャーナリスト)
才木がブレイクしたのは、先発ローテーション入りした2023年。視察はもっと前から始まっていたようだ。ドジャースとカブスの日本開幕戦は3月18日で、この日は選抜甲子園大会の初日でもある。ドジャース戦の才木を見るために来日した米スカウトの中には、帰国前に高校野球も視察する予定を組んだ者もいた。こうして米スカウトの予定と才木の好投を合わせると、「ひとつの疑問」が解消されるのである。
近年は高校野球の試合で米スカウトを見かけることが多くなった。それも春夏の甲子園大会だけでなく、予選が行われる地方球場でもだ。日米の紳士協定では日本の学生球児、アマチュア選手はドラフト指名できないことになっている。
指名できない学生球児をわざわざ視察する理由は何か。お目当ての球児が「将来のメジャーリーグ挑戦の夢」を持っていたとしても、まだ早すぎる。そう思っていた。しかし、才木が阪神にドラフト指名された2016年の高校野球専門誌を読み返してみると、「公立高校の星」として才木が取り上げられている。しかもブレーブス、ドジャース、フィリーズなど複数の米スカウトが視察に訪れていることが報じられていた。実名を出してのコメントもあれば、匿名を条件に語られたものもあったが、みなが将来性に太鼓判を押していた。
メジャードラフトで指名できない日本の学生を視察する…それは将来の米球界挑戦に備えてであり、
「近年では海外FA権を取る前にポスティングシステムで挑戦する選手も増えてきた。早すぎるということはありません」(ア・リーグ中地区スカウト)
才木の米球界挑戦が具体化すれば、「青田買い」は加速しそうだ。
(飯山満/スポーツライター)