以前、ダイアンが、既に大阪でレギュラー番組を何本も抱えていながら東京に進出した理由について「大阪で活躍しているにもかかわらず、月収が若手の後輩とあまり差がなかったことがショックだった」みたいなことを明かしていた。
「お笑いの本場」のイメージがある大阪だが、東京で活躍した方がより収入が増えることや、名前が売れることを理由に上京してくる関西芸人はあとを絶たない。むしろM-1チャンピオンに輝きながらも、大阪での活動を続けるミルクボーイのようなスタンスが珍しいくらいだ。
「M-1グランプリ2024」準優勝以降、売れっ子となったバッテリィズのエースと寺家もご多分に漏れず、この4月に上京するとのこと。先日の「にけつッ!!」(読売テレビ)で、この件についてケンドーコバヤシから「(大阪を)捨てんねやろ?」と聞かれたエースは「いや…」と動揺しながらも「捨てます」と言って笑いをとっていた。
3月19日の「あちこちオードリー」(テレビ東京系)でも、話題が上京のことになると、
若林「だってエース、ずっと西成で、地元愛もあるだろ」
エース「そうなんですよ。僕は芸人になった時から『売れるために東京に行く』っていうのは決めてたんで。絶対、迷うことないと思ってたんですよ。(でも)『東京行く』って決断した時、地元の大阪が好きすぎて、一瞬だけ迷ったんですよ。『この街離れるの嫌やな』って」
エースはこれまでの人生で西成の実家から出たことが一度もなかったため、初めてのひとり暮らし(しかも東京で)に対する心配があるようで、
「そもそも、ご飯をひとりで食べれないんすよ。『美味しい』より『寂しい』が勝ってしまったら、食べれないんですよ。お腹空いてひとりで食べなあかん時はもう、寝るんです。今後ずっと365日、ひとり(で食事する)なわけじゃないですか。それはどないしたらいいですか」
思うに、エースのあの「ピュアすぎる、愛すべきアホ」なキャラクターが今まで生き生きと育った背景には、こういっちゃなんだが、西成区という大阪でもいろんな意味でディープな土地柄だったからこそ、という面が大きいのでは。あの手の人間が日常を送る上で、残念ながら東京はそこまで情も懐も深くない。ただでさえ、ひとりで食事もできないというほど寂しがり屋のエースが、ホームシックにかかって元気を失くしたりしないか、今から心配で仕方がない。
(堀江南/テレビソムリエ)