大阪・関西万博の開幕(4月13日)まで、あとわずか。4月4日から6日までには、本番に向けた「テストラン」を実施。ところが着火すれば爆発の恐れがある高濃度のメタンガスが検知され、30分ほどの換気で安全が確認されたが、他にもいくつかの課題が露呈した。
まずは「並ばない万博」のはずが、テストランでは入場ゲート前に長蛇の列ができた。手荷物検査に時間がかかり、混雑時は入場まで約1時間半、予約なしの人気パビリオンでは3時間待ちもあったという。在阪記者が懸念するのは、
「大阪万博は10月まで続きます。あの待ち時間の長さでは、十分な熱中症対策が必要です。会場内には無料のウォータークーラーが設置されていますが、個人でマイボトル、ペットボトルなどの水分を持参した方がいいでしょう」
会場内は完全キャッシュレスで、決済はもちろん、予約、写真撮影などのためにスマホが必須となる。それなのに充電スポットが少なく、モバイルバッテリーがあると安心だ。はたしてどれだけの来場者が、モバイルバッテリーを用意してくるのか。
さらに深刻な問題が横たわっていた。
「なにより海外パビリオンの準備不足が致命的でした。自前で建設する『タイプA』は42館ありますが、そのうちテストランに間に合ったのは約半数。通常、運営トレーニングには2カ月ほどかけるのですが、もう間に合わない。ほぼぶっつけ本番で、トラブルが起きない方が不思議な状況ですね」(前出・在阪記者)
テストラン最終日には5万人が招かれたが、開幕日は約15万人が訪れる予定だという。それまでに、洗い出された課題をどのくらい改善できるのか。もう時間はない。
(鈴木十朗)