今週は中山で皐月賞TR「スプリングS」が行われる。11年連続で1番人気馬が3着以内に食い込む比較的堅めの傾向の中、万券王・水戸氏はブラックバゴに◎を打った。一方、「阪神大賞典」は、ゴールドシップの取捨がカギ!
2週前の弥生賞と並ぶ皐月賞トライアル(3着までに優先出走権が与えられる)。弥生賞は、サトノクラウンの完勝に終わったが、このスプリングSの顔ぶれは、ほぼ互角か、それ以上に見える。
GI朝日杯FSを勝って2歳王者となったダノンプラチナが最右翼だが、ドゥラメンテを破って共同通信杯を制したリアルスティールの素質の高さは誰もが認めるところ。
この両雄に続くのは、新馬─500万平場を難なく連勝したキタサンブラック、2連勝中のベルーフ、新潟2歳S勝ち以来、復活したミュゼスルタンだろうか。特にベルーフは、大外枠(17番枠)をものともせず、前走の京成杯を制し、スターダムに躍り出た逸材。この時点で皐月賞の有力候補として名を連ねることになった。本番を前にどんな白熱した競馬を見せてくれるのか、想像するだけで楽しい。
弥生賞は荒れることがまれで、そのとおり本命サイドでの決着となったが、スプリングSは、どうだろう。こちらもひもとくと比較的順当に収まっており、荒れることは、そう多くない(03年に馬単が導入されて以降、その馬単で万馬券になったのは3回。1番人気は4勝、2着3回。2番人気は2勝)。
ということからして、今回の顔ぶれからも人気勢が枕を並べて‥‥ということはありえまい。
では人気、評価どおりかとなると、そう簡単ではないだろう。
前述した有力どころと比較しても、そう見劣りしない素質馬が他にもいるからだ。
フォワードカフェ、ブラックバゴなどは、そのクチで、特にブラックバゴである。ホープフルS3着、京成杯2着の成績から伏兵とは言い難いが、人気順は少しばかり低いのでは。穴党としては、そこがつけめ。大きく狙ってみたい。
ここで3着以内に入らなければ、獲得賞金から皐月賞の出走権は手中にできない。つまりここは全力投球での挑戦。1票投じないわけにはいくまい。
まずは惜敗した前2走を振り返ってみようか。
前々走のホープフルSは、インの狭いところにコースを取ったため、前を行く馬が壁となって進路をふさがれたのが敗因。前走の京成杯は道中引っ掛かる場面があり、折り合いを欠いたのがいけなかった。にもかかわらずハナ差の惜敗だった。力量のほどは推して知るべしである。
その馬が、この中間大幅な良化ぶりを見せている。1週前の追い切りは、軽快かつリズミカル。文句なしだった。稽古は坂路中心だった馬が、ウッドチップコースで強めにできるようになったことも強調していいだろう。
「脚元がパンとしたので思いどおりの調教が積めるようになった。カイバ食いが旺盛になったし、デビュー以来、最もいい状態でレースに臨めそうだ」
と、斎藤調教師が目を細めるほどの好仕上がり。
凱旋門賞をはじめ、GI5勝のバゴを父に、ステイゴールド(3冠馬オルフェーヴルなどの父)が母の父。母系は欧州の一流血脈とあっては破壊力十分。晴雨にかかわらず中心視したい。
阪神大賞典は、デニムアンドルビーを主力に見たい。ここは3カ月ぶりの実戦になるが、短期放牧でリフレッシュされ、いい雰囲気。久々を感じさせない好仕上がりを見せている。1週前の追い切りも力感があった。気のいい牝馬で鉄砲駆けするタイプ。阪神コース〈2101〉との相性もよく、好走必至と見た。
◆アサヒ芸能3/17発売(3/26号)より