さて、そんな今季のカープの象徴である黒田について、尾関が言う。
「黒田の男気復帰による他の選手への波及効果は絶大です。黒田に教えを請う選手で『黒田塾』が結成されました。もともと、球団は『黒田投手に負担がかかる』ということで選手たちに入塾自粛を要請していたのですが、逆に黒田のほうがマエケン、大瀬良大地(23)に近づき、入塾となったみたいです。そしてさっそく、黒田は大瀬良に左打者のボールゾーンからストライクに入る『フロントドア』のツーシームを伝授。メジャー仕込みの魔球を習得したプロ2年目の右腕が覚醒します」
「カープ狂の美学」(宝島社)などカープに関する著書が多数あり、「なぜ彼女たちはカープに萌えるのか 新〈カープ女子〉論」(角川書店)を出版したばかりの、RCC中国放送コメンテーターで作家の迫勝則氏も次のように黒田を評するのだ。
「球そのものはマエケンや大瀬良に比べてすごいとは思いませんが、打たれたら次は抑えるという投球術がみごとです。オープン戦2回目のオリックス戦の登板で、ブランコに本塁打を打たれましたが、次の打席では手玉に取った。ここで併殺が欲しいというところでは必ず(併殺打を)打たせますね。黒田は全ての球を動かすようになりましたが、『きれいなストレートを投げたい、というのは自己満足だ。自分が満足することはチームに迷惑をかけることが多い』と言っています」
投球も男気そのものなのである。
黒田はメジャー時代のような150キロを超える球を投げなくなったが、
「本人いわく『10球で降りるつもりはない。投げたら最後までいかないとダメでしょうね。ミスター完投を目指しています』と発言している。中4日で100球メドのメジャー時代とは考えが変わっています」(スポーツ紙デスク)