そして迫氏と尾関は、「いちばんおもしろいのは、開幕試合でマスクをかぶった急成長株、会澤翼(26)です」と意見が一致する。
「打てる捕手は今までのカープにはいなかった。(会澤は)軽々とレフトスタンドに運びます」(迫氏)
昨年は3割7厘、10本塁打。65試合の出場で、である。尾関も言う。
「昨年から打てる捕手として開花しましたが、驚かされるのはその精神力。打席で内角の球が来ても絶対に避けない。これまで頭部死球が3回ほどあり、死球で完全試合を阻止したこともあります。メンタルの強さは、ドラフト直後の会見にボンタンと短ランで出席したことからもよくわかります」
心配なのは、「打線が弱い」とされる問題で、
「右膝内側半月板部分切除の手術を受けた主砲エルドレッド(34)の離脱は痛いですが、(昨年、69試合で14本塁打の)ロサリオ(26)が穴を埋めてくれると信じています。ちなみにロサリオの奥さんは43歳。さらに余談ですが、抑えのヒース(29)の母親も43歳です」(尾関)
打線に関して、迫氏はあくまで冷静だ。
「オープン戦でもまったく打てませんでしたが、そもそもカープ野球とはそういうものです。打って勝つのは当たり前で、本当の強さは打たずに勝つ。エルドレッドは前半戦の復帰は無理でしょうが、打線というのは毎年、水モノですから」
打たずに勝つ、とはどういうことか。
「カープの伝統野球を実践します。四球⇒盗塁⇒バント⇒犠牲フライで1点という‥‥つまりノーヒットで1点の野球。ツーランスクイズなども仕掛けてくるでしょう。そして『足にスランプはない』が緒方監督の持論。機動力でかき回し、他球団は『先に1点取られたらヤバイ』となる」(スポーツ紙デスク)
開幕戦は惜しくも敗戦となったカープだが、迫氏は意に介さない。
「長いスパンで見ないと。昨年は交流戦を貯金12で臨んで、(大きく負け越して)失速した。スタートダッシュというよりも、じっくり夏場に戦える力を整えるほうがいいと思います」
そして、尾関はこう締めくくるのだ。
「黒田は日米通算200勝まであと18勝。半年後、カープがリーグ優勝を決める試合で、同時に黒田が200勝を達成する可能性も大いにありうる。カープ周辺の空気からも、一昨年に日本一になった楽天にも似た追い風を感じます」
「絶対Vじゃわい!」というファンたちの絶叫に、赤ヘル軍団はきっちり応えてくれるか──。