職に貴賤はないけれど、なくて七癖あって四十八癖! 仕事により「その職業特有のなりやすい病気」は付き物。日頃の業務上の慣習やルーティーンワークが知らず知らずの間にあなたの体をむしばんでいるかもしれない。早死にか? 長生きか? その職業別リスクを、テレビ番組などでもおなじみのお助けドクターがズバリ診断してくれた!
「多かれ少なかれ、どんな仕事にも『職業病』はあります」
と語るのは、東京・品川は戸越銀座で秋津医院を開業する秋津壽男医師だ。テレビでも大活躍中の人呼んで“何でも解決スーパードクター”が、さまざまな危ない職業の筆頭にあげたのがタクシー運転手だ。
「勤務中は常に座りっぱなし、極端な運動不足のため血管の病気が多いのがタクシー運転手です。中でもいちばん多いのは、脚の血管が詰まり、壊死する閉塞性動脈硬化症という病気です。また、運動不足のうえに、昔は車内でタバコを吸いっぱなしだったので、血管を締め、糖尿などで血管が悪くなると、脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こす結果となってしまう」
同じ運転手でも、一味違う責務を負わなければいけないのがバス運転手。
「タクシーからバスに乗り換えた運転手に聞きましたが、こちらもストレスがたまる仕事だそうです。渋滞になればタクシーならメーターが上がるだけですが、時刻表の決まっているバス運転手は、3分遅れたら、3分取り戻さないといけない。とはいえ、スピード違反も信号無視もできないし、遅れたままだと査定に響く。ストレスで心臓病の危険大です」
国交省の報告でも道路輸送業者の脳・心臓疾患による過労死の多さが指摘されている。運転手稼業はどれも厳しい診断ばかり‥‥。その点、長距離トラックの運転手は想像するほど「悪くない」という。
「もちろん、タクシーと同じように運動不足なのは否めませんが、『次のドライブインで休憩しよう』など自己管理で調整できる。しかも、後部座席で脚を伸ばして寝ることもできます」
続いて、肉体を酷使するガテン系へ。かつては3Kなどと呼ばれ、危険だと言われた建設業だが、近年は加工技術が進歩し、「あらかじめ加工した木材などをプラモデルのように組み立てる仕事」と変化しているだけに、現場での危険度は下がったという。
「それ以外では、ベルトコンベア式の流れ作業は一つのことしかやらないため、働いていても達成感が少ない。達成感が少ない仕事はストレスが続き、よくない。その点、整備工は達成感はあるが、塗装の際の粉塵の害が起こりやすい。労基法で、マスクを装着するなどのルールがあっても、実際には夏の暑い日などマスクをつけないことが多い。さらに危ないのが古い建物などの解体をする業者です。こちらも粉塵マスクなどが義務づけられているが、同じくアスベスト公害などで呼吸器を悪くするケースがある」
作るよりも壊すほうが危険度UPなのだ。