いまやお笑い芸人よりも、芥川賞候補作家という肩書のほうがしっくりくるピース・又吉直樹。7月13日には京都にて、錦市場の湧き水で淹れたコーヒーをPRするなど、文化人ばりの活躍を見せている。
そのPRイベントに、大正時代の文豪をイメージしたという着物姿で登場した又吉。あまりに自然な着こなしに、「まさに文豪」の声があがっている。もともと着物はプライベートでも着ていたが、テレビ出演が増えた頃から「変人ぶっている」と言われることが嫌で、あまり着なくなったという。
そんな又吉は、実は先月にも人前で着物姿を披露していた。経済産業省で開かれた和装振興研究会の有識者会議に、委員の一人として出席したものだ。この委員の顔ぶれは着物メーカーの社長や呉服店の店長、業界団体の理事や大学教授などそうそうたるメンバーばかり。お笑い芸人が参加するのは異例中の異例だろう。
その有識者会議で又吉は、最近は着物を着る頻度が下がったものの、今でも5、6着を持っているとコメント。有名になる前は着物姿で散歩することも多く、外国人観光客から「やっと日本人に会えた」と言われたこともあったという。
そんな又吉は2013年、吉本興業でおなじみのイベント「よしもとオシャレ芸人ランキング」にて3年連続の1位に輝き、殿堂入りを達成。このときの発表会では丸眼鏡に山高帽という、まさに作家を彷彿させる出で立ちで登場し、大きな注目を浴びていた。これぞというときには着物姿で決めていたのである。
とはいえ、この時はまだデビュー作「火花」の執筆も始まっていなかったはず。すでに小説好きとしては知られていたが、まさか芥川賞の候補になるとは誰も想像すらしていなかっただろう。そういう意味では、まず形から入るを実践したようなものではないだろうか。
作家をイメージしての着物姿から、本物の作家にと華麗なジョブチェンジを果たした又吉。前出の有識者会議では、「格好つけるために、着物を着る回数を増やしていきたい」と宣言していた。今後は「文豪」然とした着物姿が、又吉のパブリックイメージとして定着していく可能性も高そうだ。
(金田麻有)