例年にも増して注目度が高まる今夏の高校野球。そのなかでも連日マスコミを騒がせているのが、早稲田実業高校の清宮幸太郎内野手だ。西東京大会の決勝では神宮球場が満員となるなど、早くもスターの座を確保したと言えそうだ。だが伝統の高校野球にはこれまで、その清宮を上回るスターがいたのである。
高校野球の歴史のなかでも最大級のスターと言えば、三沢高の太田幸司投手をあげるオールドファンは少なくないはず。68年~69年に3季連続で出場し、3年夏の甲子園では東北勢で初となる決勝に進出。延長18回と翌日の再試合を合わせて27イニングの熱投は今でも語り草だ。
ファンレターも日本中から殺到し、当時は「東北地方 太田幸司様」と書くだけで届いたという逸話も残る。近鉄入団後は、本拠地の日生球場にそれまでなかった女子トイレが新設されるなど、野球選手の追っかけ女子が誕生したいう意味で、まさにエポックメイキングな選手だったのである。
太田の約15年後に現れたのは、桑田真澄と清原和博のKKコンビだ。PL学園で5季連続出場を果たした2人は、投手の桑田が通算20勝、強打者の清原が通算13本塁打という甲子園記録の持ち主でもある。甲子園では実に26試合を戦っており、この数字に清宮が近づけるかどうかも注目のひとつだろう。
KKコンビが凄いのはプロ入り後にも活躍したところ。桑田は通算173勝、清原は歴代5位となる本塁打525本を放っている。また桑田は巨人で4回、清原は西武と巨人で計10回の日本シリーズ優勝を経験。PL学園でも優勝2回、準優勝2回の成績を残しており、まさに常勝の名にふさわしいコンビだったと言える。
こういったかつての超大物に、清宮が近づく姿を見られるのもまた甲子園の醍醐味だろう。早実の初戦が満員札止めになる可能性はかなり高いが、伝説の証人になる機会を求めてスタンドに足を運んでみても面白そうだ。
(金田麻有)