初回放送で月9ドラマ史上初の一桁視聴率を記録し、スタートでつまづいたドラマ「恋仲」(フジテレビ系)。視聴率低迷の原因として本田翼の名前があがるなか、わりを喰ってしまったのが、三浦七海役で出演している大原櫻子だ。
2013年の映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」でヒロイン理子役のオーディションに5000人のなかから選ばれ、劇中バンドのボーカルとして、女優と歌手のダブルデビューを果たした大原。翌年にはソロデビューも果たし、ギター女子の一人として十代女子を中心に人気を博している。
そんな大原は、フジサンケイグループの秘蔵っ子でもある。デビュー作の「カノジョは──」は製作委員会に名を連ねるフジテレビが大プッシュした映画。ドラマ初レギュラーはやはりフジテレビの「水球ヤンキース」で、ラジオの初パーソナリティも系列のニッポン放送(大原櫻子のオールナイトニッポン0)だった。
今年はお台場夢大陸の「ドリームメガガールズオーディション」にて応援キャラクターに就任。そして極めつけは、マネージメントをグループ企業の音楽出版社、フジパシフィックが担当している点だ。同社がアーティストのマネージメントを手掛けるのは大原が初のケースであり、まさに“フジサンケイグループ所属”と言わんばかりの扱いなのである。
それゆえ連ドラ出演が「水球ヤンキース」のみという大原が、いきなり“月9デビュー”できたのは既定路線だったはず。なにしろ番組公式サイトのキャスト欄では、市川由衣や山本美月といった先輩女優らを差し置いて、5番目に名を連ねているのである。
このように、特定のタレントを大々的に売り出す手法は芸能界において常套手段の一つだ。しかも大原はすでに『ティーンのカリスマ』と呼ばれる人気を得ており、ライブもソールドアウトが続くなど、決してゴリ押し状態ではない。それゆえ月9初挑戦は、順当なステップアップになったはずだ。
だからこそ、「恋仲」の絶不調は関係者にとっては大誤算だったに違いない。大原は劇中の回想シーンで中学生役にも挑戦し、丸眼鏡に歯列矯正という強烈なビジュアルを公開。それがさほど話題になっていないのだからまさに計算違いで頭を抱えていることだろう。
こうなったらフジテレビ側としたら、さっさと「恋仲」に見切りをつけ、女優・大原櫻子に箔がつくような作品を探したほうがいいかもしれない。関係者にとって不幸中の幸いだったのは、「恋仲」の主題歌に大原を採用しなかったことくらいではないだろうか。
(金田麻有)