8月4日、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹の芥川賞受賞作「火花」が累計発行部数209万部に到達したことが発表された。これは、同作品が破った過去の芥川賞受賞小説単行本の記録を更新する快挙だ。
この一大ムーブメントに色めきたっているのは出版業界だけではない。
「芥川賞受賞以前、『文学界』に掲載された段階から映像化の噂は出ていました。それが芥川賞を受賞したことで一気に火が点き、いくつもの会社が映画化に向けてオファーを出すに至ったのです」(映画会社関係者)
一部報道では、脚本を又吉が手掛けることは織り込み済みで、さらに監督や主演もこなすのでは、と報じられている。8月2日放送の「オモクリ監督」(フジテレビ系)では、又吉が作った映像作品をフランス人の観客に見せたところ、みごとなどんでん返しの展開に大喝采。文章だけでなく映像においても類まれなセンスがあることを示した。又吉への期待はいや増すばかりだが、こんな心配を抱く関係者も。
「『火花』は映像向きではありません。主人公の心情を丹念につづった作品ではありますが、映像で見せて惹き込まれるほど大きな展開があるわけではない。原作を大幅改変させればできなくはないでしょうが、それでは作品の魅力である主人公の心の機微は表現できないでしょう。逆に原作に忠実に作れば、地味になることは避けられません」(映画プロデューサー)
ファンにとっては、原作を踏みにじる映画にだけはしてほしくないはずだ。