1強5弱という開幕前の大方の予想を裏切り、前代未聞の大混セに埋もれる巨人軍。貧打にポンコツ補強に監督の迷タクトと、気が付けば「史上最弱」の声が鳴り響く有様だ。至上命題の優勝が濃霧に包まれる中、哀愁すら漂うベンチの実情をトホホ・レポートする──。
ジャイアンツ愛歴三十数年、筋金入りの巨人ファンが深いため息を漏らす。
「私の記憶にあるかぎり、こんなに弱いジャイアンツは見たことがありません。投手陣は調子がいいのに、とにかく打線が貧弱すぎる。クリーンアップは“ドームラン”すらなし、野手は軒並み自己最低の数字を更新、外国人は即二軍落ちするポンコツばかり。もう見ていられません‥‥」
投手陣は8勝でリーグトップの防御率1.86を誇る菅野智之(26)、チーム最多の9勝を上げるマイコラス(27)を中心に、高木勇人(26)、ポレダ(29)‥‥と12球団で唯一3点を切るチーム防御率で抜群の安定感(8月14日現在、以下同)。だが打撃陣に目を向けると、まさに巨人ファンを落胆させる「史上最弱打線」と呼ばれてもしかたのない状況なのである。スポーツ紙デスクがその惨状を語る。
「8月7日の広島戦では、延長12回の末、0対2の完封負け。しかも21三振を食らうというプロ野球ワースト記録を更新してしまいました。その3連戦では計39個の三振の山を築いたうえに、本拠地での同一カード3連敗と、これ以上ない屈辱にまみれた。おかげで8月10日の休養日は返上、急遽、ジャイアンツ球場での特打が行われました」
ターゲットになったのは、阿部慎之助(36)。巨人担当記者が内情を明かす。
「今季の巨人の最大の誤算は、阿部を一塁に転向させたこと。そのコンセプトありきで相川亮二(39)を獲得したり、(一塁手の)ロペス(31)をDeNAに放出したりしたのに、逆に打線の軸がブレてしまった」
守備の負担が少ない一塁手なら4番として打撃に集中できるはずが、打率は2割4分台、本塁打もひと桁と、極度の不振に陥った。巨人担当記者がさらに言う。
「捕手は打席で凡退してもすぐレガースを着けて次の回のリードに頭を切り替えられるけど、一塁だと打てなかったのをそのまま引きずって考えるらしいんです。そうしたリズムの狂いが不振の一因になっている。他球団の捕手陣は『阿部さんなんか全然怖くないですよ』『あいつ、もう終わってるんじゃないか』と完全に見下している。事実、体に往年のキレはなく、年齢的にもあちこちにガタがきていて、満足な練習ができない状態です」
必然的に、先の休日返上特打では、
「原辰徳監督(57)、村田真一総合コーチ(52)、清水隆行打撃コーチ(42)、高橋由伸選手兼任打撃コーチ(40)の4人が阿部の打撃フォームなどをあれこれとイジリ倒し、技術的なアドバイスをしていました。原監督による直接指導はすでに何度か行われていますが、特に効果が上がったことはなく‥‥」(前出・スポーツ紙デスク)
翌11日の横浜戦では7月5日以来の4番に復帰したものの、内角をグイグイ攻められ、
「以前は体を軸回転させて内角の球を本塁打にできましたが、今はダメ。一歩間違えば真ん中寄りに入って本塁打にされる危険のある内角攻めをされるなんて、ナメられている証拠」(前出・スポーツ紙デスク)
これが「巨人の主砲」のありさまなのである。