富士山麓に「10万人を集めた」と発表された、長渕剛の一大ライブイベントが波紋を広げている。9時間半にわたって44曲を熱唱した一方で、現場はトラブル続きの大混乱。あまりの“傍若無人ライブ”に、熱烈ファンまでもが「ろくなもんじゃねえ」とブーイングを浴びせたとか──。もっとも、長渕の俺様ぶりは今に始まったことではないのだが‥‥
8月22日の夜から翌23日の早朝にかけて、静岡・富士宮市のキャンプ場の「ふもとっぱら」で「長渕剛10万人オールナイト・ライヴ2015 in 富士山麓」が開催された。現場に駆けつけたイベント参加者が言う。
「観客は熱狂的な“信者”が大半を占めて、まるで長渕を気取ったようなオラオラ系の男性も目立っていたから、ライブ中の会場自体はそれなりに盛り上がっていたよ。ただ、そんな彼氏と一緒の女性客たちは“連れてこられた感”がありありで、とてもライブを楽しんでいるようには見えなくて、疲労困憊の様子だった。何せトイレに行くのも、食事をとるのも、グッズを買うのも、家に帰るのも、とにかく莫大な時間がかかる。ファンの年齢層も高めだから、夜通しイベントでフラフラになってる状況は想像つくでしょう」
長渕剛(58)といえば、過去にも大規模なスタジアムライブをいくつも開催し、04年には故郷・鹿児島の桜島で7万5000人を集めたオールナイト・ライブも成功させている。ところが、さすがに今回は勝手が違ったか──。
10万人というとてつもない規模のライブに関しては、企画段階から周囲も不安を募らせていたという。
レコード会社スタッフは語る。
「不景気の影響で、ただでさえコンサートのチケットが売れないと言われている昨今です。1人で10万人集めようなんて、時代に逆行しているとしか思えません。チケットも1万5000円とかなり高額ですし、長渕さん自身も近年はヒット曲に恵まれず、正直、CDの売り上げは落ちています。オールナイトの屋外ライブ、しかも会場が不便極まりない場所ということもあり、周りも半信半疑でした」
とはいえ、そこは無類の“俺様キャラ”で知られるカリスマ歌手だ。
ドラマ「とんぼ」(TBS系)の主人公・小川英二を彷彿させ、“過剰なスキンシップ”も辞さないヤル気満々の長渕を前にしては、人気曲「Captain of the Ship」の歌詞とは裏腹に、“船乗り”スタッフたちが本音を漏らせるわけもない。みずから舵を取ることを放棄し、“キャプテン”に言われるがままに過酷な船出を迎えたのだ。
その一方で、音楽業界関係者からは、キャプテンはキャプテンなりに舞台にたどりつくまで“羅針盤”から目を離していなかったという意見も出ている。
「長渕さんはああ見えて、デリケートなところがありますからね。周囲の空気を察して、不安も抱えていたと思います。そのためか、ふだんはめったに出演しないテレビ番組にも出まくった。あまりに分け隔てなく出演している姿を見た時には、『チケットが苦戦してるんだろうな』と正直心配になりましたよ」
長渕はライブが近づいた7月から8月にかけて、立て続けにスポーツ情報番組やトーク番組などに出演。バラエティ番組「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ系)の出演にいたっては、人気コーナー「ゴチになります」にVIPチャレンジャーとして学ラン姿で登場し、「富士山にチェスト?!」なるゲームで正拳突きを放ったり、空手のデモンストレーションを披露するなど、なりふりかまわぬ姿をさらしてまで自身のライブを告知しまくったのである。