LPGA(日本女子プロゴルフ協会)関係者が明かす。
「彼女は昨年12月から、念入りに体作りをしてきた。朝夕の走り込みにウエートトレーニングをして、筋肉だけで5キロも増やしています。その結果、飛距離が10ヤード伸び、240ヤードになった。傑出したストロングポイントを持っていませんが、その分、持ち前のガッツと『できることは何でも取り組もう』という心意気が、彼女の最大の武器なのです」
その意気込みは、クラブセッティングにも表れていると話すのは、前出のスポーツライターである。
「ドライバーはブリヂストン、フェアウェイウッド&ユーティリティはダンロップ、アイアンはミズノと、バッグの中には複数のメーカーが混在している。ベテラン選手なら話は別ですが、ルーキーでは異色です。彼女自身もこの理由を『クラブは戦う道具なので、結果を出すことを一番に考えている』と話しているように、勝負に徹しています」
これはいったいどういうことなのか。前出・LPGA関係者が解説する。
「アマ選手はプロに転向すると用品メーカー契約を結ぶのが一般的。斉藤の両親が共働きで支えたように、アマ時代には(練習に)莫大なお金がかかるので『一刻も早く苦労をかけた親を楽にしたい』という思いが芽生えます」
契約を結ぶメーカーは通常、アマ時代とは別メーカーであるケースが多い。だが、ここで一つの悩みが浮上する。1つのメーカーでそろえた場合、自分にしっくりとくるクラブを選ぶのに苦労するのだ。それが宮里藍クラスになると、オリジナルの特注クラブを発注できる。とはいえ、特注クラブといえども微妙な感覚の違いが生じ、調子を崩す選手が多い。
「例えば宮里美香(22)は、プロ転向と同時期に上から下までブリヂストンでしたが、ここ数年は伸び悩み、今年からアマ時代に使っていたミズノに戻しました。道具ごとに自分に合ったものを選んでる斉藤の判断は実に賢明だと思います」(前出・専門誌ライター) さらに、スポンサー契約にも独自の姿勢が見て取れると言うのは、前出のゴルフ担当記者である。
「企業は美人選手とスポンサー契約を結びたがります。企業イメージはもちろんですが、やはり『接待要員』としての役割もあります。試合がない週は企業の上層部とラウンドし、入りから出までアテンドしなくてはならない。世界的なプレーヤーになれば免除されますが、美人であればあるほど声がかかります。斉藤は今年3月にようやく電気機器メーカーと契約を結んだところからも、その慎重さがうかがえます」
チヤホヤされても勘違いなし
下積みを経て、みごとなプロデビューをした斉藤。しかし、ゴルフでもビジュアルでも、立ちはだかるライバルは少なくない。
「斉藤を含めた『美女3トップ』と呼ばれる選手がいます。まずは、斉藤と同期のクールビューティ・豊永志帆(21)。169センチのモデル級スタイルと、その四肢を生かして240~250ヤードのドライバー飛距離を出す。ゴルフの注目度でも斉藤より上でした。目の色を変えて巻き返してくるでしょう」(前出・LPGA関係者)
さらに、かつて「美しすぎる女子高生ゴルファー」と騒がれた香こう妻づま琴乃(19)は、昨年2月に、若い女性や芸能人に人気のアパレルメーカー、サマンサタバサと契約を結ぶなど、アイドル性は抜群。熱狂的なファンもおり、ゴルフの実力も急上昇だという。
前出のゴルフ担当記者はこんな予見を披露する。
「この3人に共通するのはチヤホヤされても決して勘違いしていないこと。逆に、一足早く美人ゴルファーとして騒がれたキンクミこと金田久美子(22)や竹村真琴(21)は、人気が先行しすぎて伸びなかった。彼女たちも負けていられないと復活してくるはずです」 ライバルとの熾烈な戦いが待ち受ける斉藤。そこへさらに立ちはだかる大きな壁が、彼女が目指す「世界」で活躍中の宮里藍や、横峯さくら( 26 )、有村智恵(24)ら、実績あるトッププロなのだ。
斉藤がこの3人をはじめとする一線級の選手に勝つヒントは、現在のやり方の延長線にあるのだという。
「今季、斉藤が体作りと同時に取り組んだのが、グリーン周りの小技と、100ヤード以内のアプローチ精度の向上でした。しかし、一番の変化は『ゴルフマネジメント力』の向上です。師事する桜井大輔コーチの下で本人も『攻め方や考え方が変わった』と話していますが、プロのゴルフとは、ボギーにならないゴルフ。ピンを狙うのではなく、冷静な状況判断でリスク回避を最優先し、どんな状況でも冷静にパーを重ねるゴルフができるようになる。いわゆるゴルフ偏差値が高い選手です」(前出・専門誌ライター)
ビジュアル系超新星は近い将来、一流どころを蹴落とす巨星へと成長するに違いない。