発行部数も200万部を超え、来年の映像化も決定した又吉直樹の小説「火花」。映像化権を獲得したのは、米国の動画配信事業会社「ネットフリックス」だ。
先日の本サイトでも報じたように、ネットフリックスは日本国内でも複数の企業と業務提携している。そのうちの一つがフジテレビ。同社が制作した映像作品の地上波放映権はフジが持つことになる。
「『火花』の映像化を実質的に仕掛けたのはフジテレビというわけです。フジは又吉が所属する吉本クリエイティブエージェンシーとも近い関係ですからね。すでにフジの関係者の間では、映像版『火花』の監督や配役の話題で盛り上がっています」(IT系ライター)
配役に関しては、明石家さんまが映像化決定前から主人公役に名乗りを挙げて話題となったほか、主人公の先輩芸人役のモデルとなった橋本武志(烏龍パーク)の名前が挙がっている。
「さんまに関しては、彼特有のリップサービス。主人公の『徳永』は20代後半の売れない芸人ですから、さんまではイメージが合わなさすぎる。橋本はモデルとなっただけあって適役だと思いますが、知名度があまりに低いので興行的には難しいかもしれません」(芸能記者)
キャスト以上に注目されているのが監督。今のところ名前が取りざたされているのは、又吉と同じ吉本所属の品川祐(品川庄司)、松本人志(ダウンタウン)の両名だ。
品川はこれまでに短編1本、長編4本を撮るなど、監督としても豊富な経験を持っている。ネットフリックスは先月、ソフトバンクとオリジナルコンテンツの共同制作を行う業務提携を結んだが、その記者発表会に出席していた品川は、同席していたネットフリックスの社長の前で「火花」のドラマ化を宣言。社長側から「品川さん、もっとお話ししましょう」という好感触の言葉を引き出すなど、持ち前の“前に出る芸風”を生かしたアピール活動を展開している。
一方の松本も、映画監督としての経験は十分。2007年の「大日本人」を始めとして、これまでに4本の作品でメガホンを取ってきた。
「吉本の大崎洋社長は松本を推しているといわれています。かつてマネジャーとして育てた松本の監督としての才能を買っているのでしょう。ただ、松本の作品は毎回話題になるわりに内容がエキセントリックすぎるためか興行的には成功しておらず、皆が期待している『火花』に合うのかどうか、現場レベルでの賛同は高いとはいえません」(前出・芸能記者)
ヒット作から遠ざかり“猟官運動”に励む品川か、社長の後ろ盾を持つ松本か、はたまた第3の人物が現れるのか。こちらの“火花”からも目が離せなくなってきた。
(金子良太)