お笑いコンビ・ピースの又吉直樹が5月11日、2作目の小説「劇場」のお渡し会を開いた。当日朝、書店で平積みされた自著を見て「ドキドキしながら行ったんですけど、看板立ててくださって、大きく扱っていただいた。心強く思っています」と興奮して語った。
第一作「火花」は「第153回芥川賞」を受賞。電子書籍を含む累計発行部数300万部突破のベストセラーに。「劇場」が掲載された「新潮」4月号は発行部数5万部という異例の数ながら、10日あまりで完売。村上春樹の「騎士団長殺し 第1部」「同 第2部」の50万部に次ぐ初版30万部で売り出された。
「タイトルにちなんで、劇場でのお渡し会を提案され、二つ返事でOKした又吉は、満員の客席を前に自虐ネタの劇場話をひとくさり。昔、北海道の小樽に住み込みで1ヵ月半漫才をしに行った際、観客ゼロの日も。客席に座ったスタッフに向けて話したり、たったひとりの客のおばあさんが帰らないようゆっくりしゃべったりしたそうだ。お渡し会ではひとりひとりに握手して手渡すサービスぶり」(芸能ライター)
前作は昨年、Netflixでドラマ化され、今年2月にNHK総合で放映された。11月には、全国東宝系で映画版「火花」が公開される。
気になるのは、第2作の映像化だ。1作目と違って難しそうだというのだ。
「本作は恋愛小説で、前作よりわかりやすく書かれていることもあって、映像化の申し込みも来ているそうだ。だが、話の内容に救いがなくて、万人受けはしそうにない。自意識過剰で自己中心的な売れない劇作家が、女優志望の女性の家で同棲を始める。が、厳しい現実に打ちのめされ、売れっ子に嫉妬し、支えてくれる女への依存を強めていく。俺様面する男のどす黒い面が鼻につき、腹が立ってしょうがないし、都合のいい女扱いにも拒否反応が出る。誰しもが持つ負の感情がさらけ出され、読後は自己嫌悪まっしぐら。うまく演じれば演じるほど、総スカンを食いそうな男の役なんて演じたい役者なんているのかどうか…」(スポーツ紙記者)
大注目を浴びている作品だけに今後の展開を「裏読み」する向きも少なくないようだ。
(塩勢知央)