球団創設80周年。記念すべき今年こそセ・リーグ優勝、そして悲願の日本一を果たすべく戦ってきた阪神タイガース。しかし、9月の大ブレーキがたたって、リーグ優勝も日本シリーズ出場も叶わぬまま、シーズンを終えることとなった。
長らく日本一を味わっていないトラ党だが、あの時の感動は一日たりとも忘れたことはない。今からちょうど30年前、85年11月2日のあの光景を──。
場所は西武球場。阪神の3勝2敗で迎えた第6戦。西武の先発は高橋直樹。阪神はゲイル。第2戦と同じ先発となった。
初回、阪神は2死からバースの四球、掛布、岡田の安打で満塁に。打席には第5戦で本塁打を放っている長崎。真ん中高めの直球を振り抜き、打球は強風を突き抜けて右翼席へ。試合開始から10分の出来事だった。
西武はその裏、石毛の本塁打で1点を返すも、阪神は2回に真弓のソロ本塁打で再び点差を広げる。
ゲイルは4回にも1点を取られるが、阪神は5回に掛布のライトへの犠牲フライ、7回にバースのライトへのタイムリーで小刻みに点差を広げてゆく。
とどめは9回、掛布の2ラン本塁打。7点差をつけられた西武は1点を取り返すのが精一杯。最後は伊東勤の投ゴロを、ここまで投げ続けたゲイルがさばき、試合終了と相成ったのだ。
目を閉じれば浮かんでくる、あの歓喜。来季こその最高の瞬間を、しっかりと見開いた目に焼き付けたいものだ。