今週は中山で「AJCC」が行われる。昨年は断然人気のゴールドシップが7着惨敗だったように、3年連続で1番人気が敗退している重賞。はたして今年は? 一方、中京の「東海S」は、インカンテーションが人気の中心。
国外との親善を高めることを目的に始まったAJCCは、今年で57回目を迎える伝統のある重賞。今回もこの時期のGII戦としては顔ぶれは決して悪くない。
一線級は冬場であり休養に入っているのが自然。にもかかわらず重賞勝ち馬がほとんどで、それに準ずる馬(重賞で2、3着がある)も少なくない。見応えある一戦になること請け合いだ。
馬券的にはどうだろうか。03年に馬単が導入されて以降、これまでの13年間で、馬単で万馬券になったのは4回(馬連では3回)。まずは比較的順当に収まる重賞と見ていいのだろう。
その間、1番人気は4勝(2着0回)。2番人気も4勝(2着2回)。無理な穴馬探しは避けるべきということだ。
年齢的にはどうだろうか。ハンデ戦の金杯などと違って、やはり充実期を迎えた5~7歳馬の活躍が目立つ。年が明けて古馬の仲間入りをした4歳馬が、この13年間でわずか1勝(2着は5回もあるが‥‥)をあげたにすぎないのに、5歳馬は5勝(2着1回)、6、7歳馬は、それぞれ3勝している。
やはり、まだこの時期は古馬の地力が勝っているということなのだろう。
あとは出走頭数が少ないこともあるが、この間、牝馬の連対はない(今回も牝馬の登録はない)。
それでは前述したデータも参考にしたうえで、勝ち馬検討に入ろうか。
各馬の能力に大きな開きはないと思うが、いちおう実績からショウナンマイティ、ディサイファ、マイネルフロスト、そして明け4歳で今後の活躍が期待されているサトノラーゼンといったところが人気を分け合うことになるのだろう。
異存はないし、チャンスは十分あると思うが、伏兵視されている馬も少なくない。人気サイドで決まりやすいと前述したが、簡単には決まらないのではないか。くどいようだが、今回、力差はあまりないように思われるからだ。
穴党としては、やはり人気薄に目をつけたい。
真っ先に目に飛び込むのはライズトゥフェイムだ。前走の中山金杯はメンバー中最速の上がり脚で4着。勝ち馬とはコンマ4秒差だったが、流れがこの馬向きになっていれば勝ち負けになっていたのではないか。その金杯は2カ月ぶりの実戦。余裕残しの状態でなければ、展開が不向きであっても突き抜けていた可能性もあっただろう。
ということで巻き返しは大いに考えていいが、この馬に関しては穴人気になる可能性大。近親にインザウイングス(BCターフ=仏古馬王者)、ハイライズ(英ダービー)がいる良血。春以降に注目を払いたい。
穴党としてイチオシしたいのは、スズカデヴィアスだ。前走のステイヤーズSは8着に敗れたが、どうも陣営は長丁場に固執しているきらいがある。2500メートル以上の長距離戦は6戦して全て4着以下と期待外れの結果に終わっている。本質的には中距離馬。ここはあらためて注目すべきである。
休み明けを使われて3戦目。ここ目標にこの中間は順調そのもので、1週間前の追い切りも軽快かつリズミカルだった。橋田調教師はじめ厩舎スタッフは、
「ずいぶんたくましくなった。最近では最もいい状態。素質的にはまだ上を目指せる馬。これまでみたいなことはない」
と、期待感たっぷりに口をそろえる。
ドクターデヴィアス(英ダービーなどGI3勝)ほか、活躍馬が近親、一族に多くいる良血。ここを弾みとして大きく羽ばたいていい素質馬だ。