岩田のスランプぶりは数字からも分析できる。週刊アサヒ芸能連載でおなじみの競馬評論家・伊吹雅也氏が解説する。
「14年はJRAのレースにおける年間勝率が15%に達していたものの、15年は10%まで下落。特に15年10月から16年1月は5.2%と、さらに下がっています」
ちなみに15年の年間勝率5%前後の主な騎手というと、北村友一(29)=5.2%=、津村明秀(30)=5.1%=、石橋脩(31)=4.8%=、松岡正海(31)=4.6%=らがあげられる。まさに「中堅騎手並み」の成績しか残せていない。伊吹氏が続けて言う。
「単勝1番人気だったレースを見ても、14年が勝率30.5%、連対率55.8%、複勝率70.5%に対し、15年は勝率24.2%、連対率42.2%、複勝率59.0%と急落しています。ただし、いわゆる『社台グループ』勢の生産馬に騎乗した際の成績、特にノーザンファーム生産馬では勝率もほとんど落ちていません。昨年、新馬勝ち後に期待馬のリオンディーズを降ろされたりしていますが、基本的に信頼度は変わっていないと見てよさそうです」
歯車が狂い、長いトンネルから抜け出せない岩田。
「自信喪失のためか、関西を主戦場とするリーディング1位のM・デムーロ(37)と3位のC・ルメール(36)を避けるかのように、今後は関東中心のシフトに変更するという情報も流れています」(トラックマン)
まさに不調スパイラルにハマっているのだ。
ベテラン勢では、柴田善臣(49)が昨年12月6日の最終レースで勝利したあと、なんと今年1月末まで未勝利。100連敗という惨状に陥っている。
「慢性的な持病の腰痛がひどい。冬場は特にキツそうですから‥‥」(スポーツ紙記者)
同じく関東のベテラン・横山典弘(47)は昨年、東西リーディング20位だったが、今年は早くも9勝で7位。1月31日の節分Sでは10番人気のチェリーヒロインでクビ差2着と、波乱を演出した。
「13年にコディーノの騎乗を巡って藤沢和雄調教師と衝突し、断絶状態となりました。以降、関東トップ騎手と関東トップトレーナーのコンビは消滅。そのせいかどうか、13年に83勝だったのが、14年は76勝、15年は57勝と急落しています。横山は『もう(関係を)修復するつもりもない。いつ(騎手を)辞めてもいい』と話しているそうで、騎乗数は少ないですが、逆にむしろ捨て身の一発が期待できるかもしれません」(トレセン関係者)
前出・伊吹氏も言う。
「10年~今年1月の成績を見ると、もともと得意な短距離戦は好走率の落ち方が緩やか。1300メートル以下のレースに限ると、10~12年は勝率19%、複勝率41.6%ですが、13年~今年1月も勝率15.9%、複勝率37%と健闘しています」
腕達者な横山は中長距離で狙いたくなるが、短距離戦こそ買いと言えそうだ。
ただし、ベテランの専門紙トラックマンは、こんなポイントを付け加える。
「ノリだけでなく、カッチー(田中勝春=44=)にも言えるんだけど、年齢とともに、キャリアの浅い馬や癖のある馬、休み明けの馬に乗ってきた時は、馬の反応が悪くて動かないと、立て直すのをさっさと諦めてしまうので注意が必要(笑)」