コピー商品で儲けるのは当たり前、日本独自の産物や企業名を次々と勝手に商標登録。果ては我が領海に平気で侵入し、尖閣諸島は自分たちのものだと言い張る。やりたい放題の中国に対し、かねてから過激発言を連発、領土問題に一家言ある石原慎太郎都知事が仰天の対抗策をブチ上げた。尖閣諸島、買い取ります──。賛否飛び交うこの計画の舞台裏を、「売る側」の地権者が激白した。
「東京が尖閣諸島を守る。日本人が日本の領土を守ることに何か文句がありますか」
東京都の石原慎太郎知事(79)は4月16日、訪問先の米ワシントンで物議を醸す爆弾発言をブチかました。「東京都が尖閣諸島を買う」と公言したのである。
買収するのは尖閣5島のうち、最大面積の魚釣島と北小島、南小島の3島。現在は民有地であり、国が3島合わせて年間約2500万円の賃料を支払い、管理する形を取っている。国との賃借契約は、来年3月末でいったん切れるのだ。
本誌は地権者である埼玉県在住の栗原國起氏(70)に話を聞こうと接触を試みたところ、一貫してメディアへの登場を控えてきたとして、代わって実情を知る実弟の弘行氏(65)がインタビューに応じてくれた。
「東京都に売るという意思だけは固まっています。石原さんは来年4月(の買収)をメドにしていますよ。国との単年度契約が(来年3月末まで)残っていますからね。かつては私も北小島、南小島を所有していましたが、02年に兄(國起氏)に所有権を移転しました。政府から『(所有者を)一本化してくれ』という要望があったもんですから」
ちなみに、残りの2島のうち、大正島は国有地。久場島は、
「妹の名義になっています。在日米軍の射爆撃場として、国との賃貸契約を結んでいます」(弘行氏)
言うまでもなく尖閣諸島周辺海域には、勝手に領土権を主張する中国の漁船や海洋調査船などが頻繁に出現し、日本の領海を侵犯。10年9月には、中国漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりするなど、国境トラブルの舞台となっている。
栗原家、石原氏双方と交流があり、03年に尖閣諸島に上陸しているフォトジャーナリスト・山本皓一氏が説明する。「栗原家にはこれまで、さまざまな相手が接触を図ってきました。自治体、国、一般人、不動産業者、中国人、さらには中国の意を受けた日本人や日本の企業といった“中国のダミー”まで‥‥。しかし栗原家は、民間や外国には島を売りたくないのが本音でした。弘行氏は『売るとすれば、日本の自治体か国しかない』と言っていましたから」
再び弘行氏のインタビューに戻ろう。
「石原さんとは約40年にわたって親交があった。その中で徐々に売買の話が煮詰まり、いよいよ機が熟したということです」