「AKB48」は大海を泳ぐ「イワシの大群」!
その大群を丸飲みする鯨がピンク・レディー
昨年8月に発売されたシングルCD「フライングゲット」が、初週で135万4000枚を記録し、オリコン初動売上歴代1位に輝いたAKB48。一方、かつてレコードの売り上げ10曲連続ミリオンセラーを記録したピンク・レディー。はたしてこの勝負の行方は!
“山口百恵の生みの親”として、日本の芸能界に大きな足跡を残した音楽プロデューサーの酒井政利氏が、次のように話す。
「アイドルが我々に残してくれるのは“記録”か“記憶”。記録は双璧だけど、AKB48はCD不況のこの時代に、みごとな演出でミリオンセラーの記録を打ち立てた。これは彼女たちの勝ちです。でも、人々に与えた記憶、インパクトでは、ピンク・レディーの勝ち。30年以上たった今でも、作品のイメージが老若男女の間で強烈に残っている。稀有な存在です」
阿久悠ワールドのピンク・レディーと秋元康ワールドのAKB48では、演出も大きく違うと言う。
「ピンク・レディーは『乙女のピンチ』『地球の男に飽きた』とか、歌詞や楽曲が常にセンセーショナル。ミーが陽でケイが陰、このバランスも人気の要因だったと思う。AKB48は、70年代、80年代にはやっていたことをやっている。熱烈なファン層をつかんだけど、CMなどを見てもバーゲンセールの包装紙を替えたようなもので、斬新さに欠けますね。ピンク・レディーは時代を揺るがし、AKB48は熱狂的なファンを揺るがした」
では、この2大アイドルが同じ時代に活躍していたら、どうなったのか?
「AKB48は大海を泳ぐイワシの大群のよう。イワシは大群になることによって大きく見せることができる。ピンク・レディーはそんなイワシの大群を丸飲みするクジラかな。もし同じ時代だったら、きっとAKB48は丸飲みされていましたね」
この勝負、ピンク・レディーに軍配が上がったが、新旧アイドルの今後について、酒井氏はこう危惧する。
「前田敦子の卒業は一石を投じた感がある。平均年齢も上がった今、これはアイドルの宿命ですからね。これからどんどん“卒業ごっこ”がはやっていくでしょう。AKB48もまだ力があるうちに、アイドルから大人の女性へ脱皮を図ってほしいですね。再結成しているピンク・レディーは、国民的な人気と、時代を揺るがした彼女たちだから再結成ができたと思う。ただ、今後、あのボディを保つのは苦労すると思います」