テリー そもそもピアノを習い始めたのは? 経歴を見ると、音大には行ってないんだね。
高木 そうですね、ピアノは4歳から習っていたんですけど、音高や音大には最初から行く気がなくて、大学は慶応に行きました。音大に行っちゃうと周りが音楽だけの人になっちゃうから、それはあんまり楽しくないかな、と。
テリー 慶応なのか、頭いいんだね。
高木 全然そんなことないんです。「AO入試」っていう、一芸に秀でていれば受かる入試で入りましたから(笑)。
テリー じゃあ、音楽で入ったってこと?
高木 はい、あとは論文と面接。
テリー ということは、ピアノの実技はあった?
高木 いえ、それもなかったんですよ。自分で作った曲を提出して面接官に聴いてもらったりはしたんですけど。あとは「この学校に入ったら、私は将来映画音楽を作って‥‥」とか、そういう夢を面接で熱く語って、その熱量が高いと受かるんです、たぶん(笑)。
テリー アハハハ! それで入った学部が?
高木 環境情報学部です。(神奈川県の)藤沢キャンパスにあるんですけど。
テリー どうしてその学部を選んだの? 音楽にはあまり関係なさそうだけど。
高木 いえ、慶応の中では唯一音楽の授業があるところなんですよ。私はコンピューターミュージックの技術的な部分を勉強したかったんですけど、実際に行ってみたら、期待してたのとはちょっと違ってまして。
テリー それは、どういうところが?
高木 その授業はもっと数学的で、計算式をどうこうみたいな理論を学ぶ授業だったんですよ。
テリー 聞いただけで面倒くさいな。
高木 そうなんです。「音像環境がどう」とか言われても、そんなのどうでもよくて(笑)。だから結局、大学時代は適当な授業ばっかり取っていました。
テリー じゃあ、本格的にプロを目指すのは大学卒業後なんだ?
高木 そうですね。だいたい大学3~4年になると、周りが就活を始めるじゃないですか。
テリー 高木さんのそのバストがあればだいたい受かるよ。俺が人事部長だったら、絶対合格させるね(笑)。
高木 ホントですか、やった~(笑)。でもその時、自分に会社勤めは無理だなと漠然と思ってたんですよ。考えてみたら、私にはピアノしかないと気づいて。それまでもライブハウスで演奏はやっていたんですけど、そこから頑張り始めたんです。
テリー ちなみに、どこのライブハウスに出てたの?
高木 初めて出たのは、新宿の「J」っていうお店で。最初は知り合いに誘われて遊びに行っただけなんですけど、オーナーさんに「ジャズやってるんです」って言ったら、休憩中に「じゃあ、ちょっと弾いてみる?」と言われて。
テリー へえ、すごいチャンスだね。
高木 で、演奏してみたら「キミはいいものを持っているから、もしやる気があるなら、そのうちライブをやってあげてもいいよ」と。そこから「プロになろうかな」という気持ちが強くなっていったんです。