リーディング争いを演じてきた岩田と福永でさえも、乗り替わりや騎乗数の減少に不安を訴える今、他の騎手からも愚痴や悲鳴が聞こえてくる。多い時は短期免許で5人もの外国人騎手が来日するのだから、なおさらだ。
「牝馬クラシック3冠ジョッキーの幸英明(40)でさえ、『目標は1000回騎乗』(過去の達成者は幸、岩田、北村宏司の3人)と言っています。『1年間を健康でケガせずに』という思いなのでしょうが、裏を返せばローカルを主戦場にするという意味で、1月の小倉も参戦していた。昨年、初めて1000回騎乗を達成した岩田も『(福島は)あくまでスポット参戦で、今後(のローカル参戦)は未定』と話していましたが、ローカルで勝ち星を積み重ね、トップ10を守りたいのが本音でしょう」(スポーツ紙デスク)
これに、若手や中堅からは泣きが入っている。
「岩田や幸のローカル参戦に、若手は『マジっすか!』と驚きを隠せない。今年の函館開催は6月18日からですが、5月末から現地入りする騎手がいると思います。デムーロ&ルメールの猛威で社台系から馬が回ってくるのを諦め、新馬の使いだしの早いマイネル軍団の馬に乗る騎手の1人は、『ここで稼いでお手馬を見つけないと。(マイネルを)外されたら(騎手生命の)終わりですからね』と不安を募らせていました」
社台軍団入りのハードルが高くなれば、マイネル軍団の主戦争いも激化する。東の柴田大知(38)と松岡正海(31)、西なら和田竜二(38)と松山弘平(26)だ。そのあとを津村明秀(30)や丹内祐次(30)が追う。
「早朝の調教後、マイネル軍団の育成牧場でも調教に乗ってますよ。その中でも、ここ数年、ケガなどで低迷していた松岡が元気ですね。桜花賞にウインファビラスで出走した松岡は、戦前から『3強って言われるけど、一泡吹かせてやりますよ。そんなに差はない』と強気にアピール。岡田総帥からパドックで『(内枠のメジャーエンブレムに)外から蓋をするようなイメージで』と進言され、忠実に乗っていました。ライバルの三浦皇成(26)が社台にもマイネルにも乗る中、『俺はマイネルで』と腹をくくったようですね。皇成も『(昔のように)夜遊びなんて行ってられない。営業しないと』と、時間があれば北海道まで馬主と馬を見に行っていますね」(専門紙トラックマン)
デムーロ&ルメールの猛威は収まる気配を見せず、日本人騎手の受難時代は当分続く──。