デムーロ&ルメール旋風の裏にはもちろん、社台グループの強固なバックアップがある。トレセン関係者が解説する。
「使い古された言葉ですが、今の競馬界は『社台の運動会』。昨年の生産者、いわゆる牧場の収得賞金ランキングを見れば一目瞭然ですよ。ベスト3は社台系で、トップのノーザンファームが約128億円。2位の社台ファームが約81億円、3位が白老ファームの約28億円。出走頭数も歴然で、3社の合計が2238頭です。他で200頭を超えるところすらないですから。勝利数でも(社台系の合計が)1047勝で、100勝以上している生産者は皆無です。ディープインパクトやキングカメハメハなどの大種牡馬を抱えているから当然ですが、馬主にしてもベスト3は社台系で占めている。調教師や騎手に与える影響は絶大です」
この2人の外国人騎手のように、社台グループに腕を認められれば強い馬に乗ることができ、調教師ともども、おのずと勝ち星は付いてくる。競馬専門紙の担当記者が「笑い話のようですが」と言って、こう明かしてくれた。
「本紙担当は的中率が問われるので、GIの印は馬よりも騎手で自動的に選びがちになっています。まずはデムーロかルメール。次に地方出身騎手。ただ、岩田や内田博幸(45)が低迷している今なら戸崎圭太(35)です。その次に短期免許中の外国人騎手と西の福永祐一(39)や武を比較し、残りを調教師の名前を確認しながら、東のベテラン・蛯名正義(47)や西の中堅の川田将雅(30)や浜中俊(27)あたりにする。これで7頭が埋まってしまいますね(笑)」
最近はGIともなると、乗り替わりが頻繁に起こる。たとえ前走で勝っていてもコンビ解消となることがあり、トップジョッキーといえども安穏としてはいられない。さる個人馬主が語る。
「例えば、角居厩舎の3歳牡馬リオンディーズ。今年のクラシックの主役の1頭ですが、そもそも福永が乗る予定だった。兄のエピファネイアが僅差でダービー2着だけに、同じコンビでリベンジだと。ところが福永が昨秋に落馬負傷して、岩田で新馬戦勝利し、続く2戦目のGI・朝日杯FSはデムーロで制覇。この時、岩田には小倉2歳Sを制したシュウジがいて、朝日杯までセット騎乗が決まっていたためです」
ただ、これは表向きの話で、新馬戦後に乗り替わりが検討されていたという。個人馬主が続ける。
「実はリオンディーズ陣営の一部からは、新馬戦でスタートから800メートル以上も掛かってしまった岩田の騎乗を不安視していた。そのため、3月の弥生賞もデムーロの継続騎乗となったのです。福永も予定より1カ月も早く復帰しましたが、間に合わなかった」