元騎手でターフライターの細江純子氏は言う。
「デムーロ騎手はアグレッシブな騎乗ぶりで、ズブい追わせるタイプの馬を頑張らせるのが上手。ノッてくると固め打ちするから、そのへんを見落とさないようにしたい。確かにゲートの出の悪さを指摘されますが、本人もそのことについてはあまり上手ではないと語っているようですね。それと、以前、騎乗していたヨーロッパでは、馬に合わせる感じでゆっくりとスタートする傾向がある。それも背景にあるのでは」
落馬事故のトラウマを指摘する競馬サークル関係者もいる。デムーロは初来日した05年11月26日の東京3Rで落馬。右大腿部損傷、右顔面裂傷のケガを負った。今年の皐月賞の直線斜行で4日間の騎乗停止を食らった際はイタリアへ帰国し、落馬での古傷と言われる右鎖骨の手術を受けている。
一方のルメールについては、
「ソフトで巧腕タイプ。そのため、気性の勝った牝馬をうまくコントロールして走らせるのが上手です。レースでムキになるようなこともなく、安定感がありますね。日頃から穏やかで、相手の気持ちをくむのが上手なタイプ。それゆえ、(ペルーサのような)気性の難しいタイプの馬との相性もいいような気がします」(前出・細江氏)
ルメールに指摘されるのは、仕掛けの遅さ。秋華賞6着のタッチングスピーチの騎乗がいい例だが、仕掛けがワンポイント遅れ、突こうとするところに他馬に先に入られてしまうケースがよく見られるからだ。府中牝馬ステークスのノボリディアーナのようにタメ込んだ末脚が決まると鮮やかに映るが、そういつもうまくいくとは限らない。
「京都大賞典のワンアンドオンリー(6着)のように、勝負どころで置かれてしまうこともある。本人は『日本の競馬になじんだ』と言うが、もしかすると脚をタメて直線勝負にかけるフランス競馬の影響がまだ残っているのかもしれません」(専門紙トラックマン)
それでも結果的に好成績を残している実力は誰しもが認めるところ。
ちなみに、2人に馬の手配をするエージェントは同じ人物である。
リーディング上位にいる騎手の中で、最も馬券的妙味があるのは柴山雄一(37)だろう。たびたび人気薄の馬を上位に持ってきて、穴男になっている。
近走では10月17日の東京6Rで7番人気のステージチャンプで1着、翌日の京都4Rでも4番人気のミキノトロンボーンで1着になり、高配当を演出。穴党を喜ばせている。その柴山について、スポーツ紙レース部デスクは、
「厩舎間の評判も上々で、彼が稽古をつけた馬は実戦でいい走りをすると言われています。そのいい例がフラワーカップを勝って、NHKマイルCでも2着したアルビアーノ。柴山が付きっきりで調教をつけてきたから、あのような好成績を収められたのです」
アルビアーノの木村哲也調教師とは名コンビで、厩舎の23勝中11勝を上げているほどだ。木村厩舎の馬に柴山が乗ってきたら勝負がかりと見ていいだろう。