アイドルライターの村山義典氏が、アイドル界の現状を解説する。
「今は芸能事務所に所属していないフリーのアイドルでもライブイベントや撮影会に参加することができ、イベント後に握手会などファンと交流するのが一般的です。冨田さんは正確にはアイドルではなくシンガーソングライターですが、演奏後にCD即売会を行うなど、いわゆるアイドル活動を行っていました」
今や「会える、話せる、触れられる」がアイドル界の主流だが、それだけにアイドルの身近に危機が迫っているとも言える。
「多くの観客を動員できない地下アイドルは『対バン』という合同ライブに参加し、即売会を行います。フリーのアイドルはほぼスタッフがいない中、1人でCDを手売りするため、購入後のファンにも応対しなければならないことがある。中には40分も話し続ける熱いファンもいますが、これもこなさなければファンが増えないと思い込む子も多いんです」(フリーアイドル・優月心菜さん)
特に大手事務所に入っていないフリーアイドルが狙い撃ちされやすいという。
「今のアイドルは接客業がメインになっていて、ファンも接客サービスを受けて当たり前だと勘違いしている人も多い。最初はライブを見て『本物のアイドルだ』と喜んでくれていたのに、通い詰めているうちに歌も聴かずに話しに来るだけになるんです。握手会で『この衣装はダメだ』『あの振り付けはおかしい』などプロデューサーのようにお説教したり、『歌が下手だ』『ブスだ』など誹謗中傷するクレーマーも‥‥。ライブ会場以外でも、待ち時間などに周辺で時間を潰していると声をかけてきて、それを無視すると『聞いてるのかよ、クソ!』など暴言を吐かれてしまうことも」(前出・優月心菜さん)
もちろん事務所に所属していればスタッフと相談もできるが、フリーの場合はこうしたことを苦にアイドルを辞めてしまうケースも多い。Kカップ100センチのバストを売りに、撮影会などで活動するグラドル・吉沢さりぃさん(31)は2年前からフリーで活動している。
「事務所所属だと仕事を選別されてなかなか回ってこないこともありますが、フリーならば自分のやりたい仕事を入れられるという利点があります。ただ、『どうせDVD買っても儲けにならないんでしょ』と封筒に現金30万円を入れて渡してくるような怖いファンもいる。それでも熱心なファンを失うのが怖いんです」