春のGIシリーズのラストを飾る宝塚記念が終わり、ローカル競馬の季節がやって来た。と、その前に今年上半期を振り返ると、実にさまざまな「事件」が起きていた。藤田菜七子フィーバーで盛り上がる一方で、競馬人気に水を差す場内外での“乱闘”も勃発。レースよりもおもしろい人間模様を、まとめて公開する。
JRAで16年ぶりに誕生した女性新人ジョッキー・藤田菜七子(18)。今年上半期はこの話題で持ちきりだった。涙のJRA初勝利は4月10日の福島9R(ダート・1150メートル)。スポーツ紙デスクが解説する。
「51戦目でようやく、という感じでした。『このまま勝てないんじゃないか』と本人も悩んでいただけに、周囲もホッとしたものです。あらためて、新人騎手を預かる調教師の苦労が浮き彫りになりましたね」
新人騎手を抱えれば厩舎運営費が膨らみ、馬主の預託料がアップするなど、騎手の育成以外でも頭を悩ますため、預かり手が少ないという。スポーツ紙デスクが続ける。
「菜七子ちゃんには兄弟子が2人います。その丸山元気(25)と野中悠太郎(19)も預かる根本康広調教師の心意気には感服させられます。今、売り出し中の石川裕紀人(20)の初勝利馬も根本厩舎の馬でした。菜七子ちゃんの初勝利馬サニーデイズは相沢厩舎。石川の所属先です」
藤田の初勝利から3日後の4月13日、西の栗東トレセンでは、若手のホープ・鮫島克駿(19)が「騎乗自粛」を余儀なくされる「事件」を起こしていた。栗東トレセン関係者が振り返る。
「鮫島は4月17日の阪神9Rを最後に、5月14日の新潟2Rで復帰するまで騎乗していませんでした」
その間、ファンの間では「何かあったのでは?」「違法カジノにでも出入りしていたのかも」など、さまざまな憶測が飛び交ったが、発端は京都で行われた「花見宴会」。栗東トレセン関係者が続ける。
「佐賀県出身の鮫島を含む、九州出身の騎手が大勢参加して行われました。鮫島は最年少ながら、幹事役をやることになったようです。その宴席で未成年の鮫島が、先輩騎手たちにかわるがわる酒を飲まされた。知り合いのきれいどころを何人か呼んでいた手前もあり、その場の勢いも手伝って、ガンガン飲んでしまうことに。結果、泥酔状態になったのです」
鮫島はその後、タクシーで栗東まで帰ることになったのだが、ここでトラブルが発生した。
「鮫島は『10万円払うから栗東まで乗せていけ』と横柄に言うなど暴言を吐いたりして、運転手とトラブルになりました。10万円もかかるとは思えませんが、そう言いながら、手持ちの現金は5万円だったそうです。おまけに車内で吐いて、汚してしまいました。怒った運転手が警察に通報し、ちょっとした騒動になったのです」(前出・栗東トレセン関係者)
この花見に参加し、鮫島に酒を飲ませた「先輩騎手」の中には、浜中俊(27)や松田大作(37)もおり、浜中は負傷で休養中だった。