この短期免許交付条件の改訂を巡っては、騎手たちの心中も複雑なようで、
「そもそも、個人の過失を外国人騎手全般に置き換えるような処置が妥当なのかという意見がありますが、騎手からは『同時期の来日を5人から3人に削減してはどうか』という嘆願が出されたとも聞いています。確かに騎手会としては、勝ち星をさらわれる外国人騎手に来てほしくないのは事実。副会長の福永祐一(39)も『外国人を乗せすぎ。こんなに大勢必要なのか』と漏らしています。このままでは日本人騎手が育たない、という懸念があるからでしょう」(専門紙トラックマン)
デムーロ、ルメール旋風が吹き荒れる中、敢然と牙を剥く日本人騎手もいる。
西のベテラン、小牧太(48)は今年4月、自身のコラムを持つ競馬情報サイト「netkeiba.com」で、デムーロの騎乗について、こう論評した。
〈それにしてもミルコはあれだけの技術を持ってるのに、なんで真っ直ぐ乗ってこないんやろ〉
実は、これには前段がある。昨年も、小牧はこのコラムでデムーロ批判を繰り広げており、それがぶり返した形なのである。
〈ミルコは汚いね、乗り方が。(中略)あ、ルメールはそんなことないけどね。ルメールは競馬がマジメ。デムーロはとにかく乗り方が厳しいし、重賞になったら容赦なしや。挟んだりとか、けっこう多いでしょ?(中略)我慢してる若手も多いよ。(中略)ミルコに関しては、巧さ以上にそういう騎乗が目につくね〉
小牧に続いて、「乗り方が汚い」デムーロから売られたケンカを買ったのは、川田将雅(30)である。象徴的なレースが、ダービー前日の阪神10R、白百合Sだ。前出・専門紙トラックマンが解説する。
「逃げ馬の2番手で追走する川田を単勝1.9倍のデムーロが7番手から追い上げてきて、3コーナーで切り込んだんです。すると川田も外から馬体を並べて応戦し、両者の肘と肘がぶつかり合う展開になった。デムーロの肘が川田の胸元に迫ったりもしていました。さらには、両馬の鼻面が当たるシーンもあった。結果、川田が4着、デムーロは7着と共倒れ。まさに勝負度外視のケンカ騎乗でしたね。両者ともに制裁はなく、ケンカ両成敗のようにも映りましたが、その馬券を握りしめていたファンにとっては、後味の悪いレースだったのではないでしょうか」
デムーロに対しては、美浦の加藤征弘調教師も憤激モード全開。加藤師の管理馬ステイリッチが15年8月の未勝利戦勝ち以来となる、今年2月28日の500万下条件戦に、デムーロ騎乗で挑んだ際のことである。