助っ人外国人補強に失敗し、正二塁手と正捕手不在のガタガタ状態になった巨人。紙面に「リメークドラマ」の文字が躍り、7月初頭で過去の奇跡にあやかりだした。再建の会議が行われたが、チームスローガン「一新」ならぬ「一笑」ものの大慌てぶりに、「非情」な大ナタが振り下ろされようとしている。
7月2日、1点差でヤクルトを追いかける巨人は、7回、二死一、二塁の好機を迎える。一塁ランナーはキャッチャーの實松一成(35)。ここで高橋由伸監督(41)が、98球を投げていた菅野の代打で大田を打席に送った時のことである。
「なぜここで動かない!」
思わず叫び声を上げたのは、試合を観ていた長嶋茂雄読売巨人軍終身名誉監督(80)だった。
大田は右中間を破り二塁ランナーが生還したが、一塁ランナーは本塁クロスプレーでアウトとなった。ある球団関係者によれば、
「代打を出すのなら、足の速くない實松にも代走を送らないといけないというのが、ミスターの発言の真意です」
巨人のチーム打率はリーグ5位で得点は最下位(文中の成績は全て7月8日現在)。ミスターは攻撃的野球を好むが、前出・球団関係者が明かす。
「僅差のゲームが多いことからイライラが募るばかり。観戦中は独り言で感想を漏らすのですが、特に試合を観た日は名誉監督の血圧が上がるようです」
娘の三奈氏(48)も気が休まらないほどだという。
ミスターと松井秀喜氏(42)の間には、直接連絡できる“ホットライン”がある。しかし、高橋監督との間にはそれがなく、ミスターのつぶやきは「金言」として、球団幹部を経由して、高橋監督に伝わることになっているという。そんなミスターの健康状態を悪化させるほど巨人は苦戦している。セ・リーグは首位広島が独走状態で、2位以下が4ゲーム以内に集まる1強5弱状態。巨人は3位で首位とのゲーム差10である。
大コケの一因は、外国人助っ人の相次ぐ故障だ。
昨季勝ち頭だったマイコラス(27)は二軍生活から復帰したものの、2試合登板して勝ち星なし。昨季8勝のポレダも度重なる故障で戦線離脱中である。
「開幕前、2人の大物外国人野手を補強しました。高橋監督に少ない重圧の中で若手を育ててもらいたかったからです。原前監督のように就任1年目で優勝させ、“名将由伸”と持ち上げたかったのですが‥‥」(前出・球団関係者)
言葉を濁すとおり、その思惑は大きく外れることになった。
ギャレット(35)は調子の波が激しく、打率2割3分台と低迷。クルーズ(32)は度重なる負傷で戦線離脱を繰り返し、いまだ復帰のメドすら立っていない。監督のストレスは募る一方だ。