スポーツ

夏の甲子園でスターになれなかった男たち(10)小川泰弘が21世紀枠で見せた“ライアン”前夜の投球術

20160813ogawa

 通算324勝に計5714奪三振のメジャー記録を持つノーラン・ライアン。大きく足を上げて投げ込む独特のフォームがそのライアンを彷佛とさせるヤクルトのエース小川泰弘。13年のプロ入り以来、チームのローテーションの軸となっているが、そんな小川は愛知県の公立の強豪・成章のエースとして08年の春の選抜に出場を果たしている。中京大中京などの強豪私学がひしめく愛知県で過疎地の公立校ながら、継続して好成績を収めていることが評価されての“21世紀枠”での出場だった。

 21世紀枠というと例年戦力が見劣りするというのが大方の見方だが、そこは野球王国・愛知のチーム。開幕カードで駒大岩見沢(北海道)と激突することになっても慌てることはなかった。特にエースの小川は試合前に徹底的に研究したという相手打線のクセを頭に入れ、打者ごとに攻め方を工夫する巧みな投球を披露。また得点圏に再三走者を背負いながらも強気に内角をつくなどしてチーム打率4割近い駒大岩見沢打線に長打を許さなかった。エラー絡みで2点を失い7回まで1-2とリードされるも、8回表に味方打線が反撃し、3-2と逆転に成功。9回裏に2死三塁と一打同点のピンチを迎えたが、後続を断ち、8安打されながらも失点2、自責点0で見事に初戦突破を果たす。と、同時に成章に春夏通じての初の甲子園勝利をもたらしたのである。

 続く2回戦は古豪・平安(現・龍谷大平安=京都)との一戦。甲子園の名門相手に善戦したものの、2-3で一歩及ばなかった。惜しむらくは2回表の小川のピッチングだ。2死二塁から1つの四球と3本のタイムリーを緩し、一挙に3点を先制されてしまったのだ。その後は巧みな二塁牽制でピンチを断つなど、粘りのピッチングを披露していただけに、投球が単調になった2回だけが悔やまれた。

 最後となった同年の夏は東愛知大会(記念大会で愛知県からは2校の出場枠があった)の決勝まで進出したものの、大府の前に11安打を浴び、1-3で敗退。春夏連続出場はならなかった。

 高校時代は“投球術”が持ち味だった小川。それが今のようなライアンばりの豪快なフォームに変更したのは創価大学3年生時の夏だった。それ以降はリーグ戦で無傷の21連勝を達成。プロ注目の投手となるのである。

(高校野球評論家・上杉純也)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
巨人・坂本勇人「2億4000万円申告漏れ」発覚で「もう代役・中山礼都の成長に期待するしかない」
2
青柳晃洋「マイナー登板でも大乱調」の暗闇…また「有原式」「上沢式」が発動されるのか
3
フジテレビ第三者委員会の「ヒアリングを拒否」した「中居正広と懇意のタレントU氏」の素性
4
巨人「甲斐拓也にあって大城卓三にないもの」高木豊がズバリ指摘した「投手へのリアクション」
5
フジテレビ衝撃の報告書に登場する「タレントU」は「引退」を口にした!当てはまる人物は…