何が何でも消費税を上げ、国民負担を増大させようとするどじょう政権に「NO」を叩きつけて離党。国民目線の主張と造反劇に「よくやった、小沢! 」と庶民の拍手が湧き起こる──。いや、現実とは悲しいもので、決してそんな事態にはならなかったのである。世論が示したのは、理のある言い分に共感はしても、支持はできないという裏腹な感情。いったいナゼなのか。
「正論」を吐いても嫌われる
政権交代から3年。民主党がついに分裂した。
消費増税関連法案の採決に反対票を投じた小沢一郎氏(70)は、造反に同調した小沢グループ議員を引き連れ、集団離党を表明。野田佳彦総理(55)は離党届を受理せず、党の倫理規則で最も重い「除籍」処分を下し、決別の意思を示した。「小沢新党」に活路を求めた小沢氏は、離党届提出後の会見でこう言った。
「私たちは『国民との約束にない消費税増税を先行する強行採決は許されない』『政権交代で訴えた社会保障政策を棚上げにした民主、自民、公明の三党合意は国民への背信行為だ』と主張しました。『増税の前にやるべきことがある』とも訴え、反対票を投じました」
そして、除籍処分を受けたことにも触れ、
「国民との約束を守ろうとする者たちを国民との約束を棚上げにする者たちが処分するとは本末転倒」
政治部デスクが言う。
「新党の旗印は『増税反対』『脱原発』。各種調査で有権者の過半数が増税反対の意思を示す中、まさに民意を反映したものと言えます」
小沢氏が衆参両院に届けの名称も「国民の生出た新会派活が第一」だ。
ところが、である。複数のメディアが実施した「小沢新党」に関する世論調査の結果は意外なものだった。共同通信の調査では、新党に「期待しない」が79・6%、「期待する」は15 ・9%。産経新聞に至っては、それぞれ86・7%、11・1%という数字が出ている。すなわち、「消費増税には大反対だが、小沢新党は支持しない」。小沢氏の正論を、国民は分裂の大義として受け取っていなかったのだ。「政界の壊し屋」小沢氏の新党結成は、新生党(93年6月)、新進党(94年12月)、自由党(98年1月)に続き、これで4度目。正直なところ、小沢氏に対する国民感情はどうなのか。4人の論客に分析してもらい、剛腕に教示していただこう。