国会議員「反原発チーム」が作成
「全国原発危険度 ランキング」を噴飯公開する!
「ワースト1位が大飯とはどういうことだッ」
我が国の宰相が将来の「原発依存度」を決めきれずオロオロしている間に、反原発を掲げる国会議員有志が「全国原発危険度ランキング」を発表した。その結果は、なんと大飯原発がワースト1位ではないか。危険な代物から再稼働させたなんて‥‥信じられない!
国民の声も「音」にしか聞こえず
6月29日、大飯原発再稼働に反対する国民が官邸に集結。約2万人が霞ヶ関の財務省まで埋め尽くした。
まさに、安保闘争以来の大規模な抗議活動だが、野田佳彦総理(55)はSPに、こうつぶやいたという。「大きな音だねえ」
国民の声も単なる「音」にしか聞こえない。その無神経さには驚かされる。
そんな野田総理の耳には恐らくこれも届いていないのだろう。その前日の6月28日、7党9議員による国会議員連盟「原発ゼロの会」が全国原発危険度ランキングを公表したのだ。
現在、国内には50基の原発が存在する。このランキングでは、その全てを評価対象としている。各種専門家、原発問題に専門的な知識を有するNPO法人、原子力安全・保安院などから提供された情報に基づき参加議員が評価を行った。
「総合ポイント」とは、「原子炉の危険度」「地盤等の危険度」「社会環境面の危険度」の3分野全9項目ごとにポイントを配分し、総合点(15点満点)で付けたもの。総合点が高い危険な原発から順に廃炉にしていく道筋への叩き台として考案された。
ただし、全50基の原発に点数を付けたものの、ランキング対象外の原発もあった。それは、すでに危険度が高いとして「即時廃炉にすべき原発」と評価したもので、その数は24基。全国の約半数の原発は即廃炉にしなくてはならないのだ。
そして、ランキング対象となった26基中、危険度トップになったのは、なんと総理が再稼働を決めた大飯原発にある1、2号機だ。総合点は10・75点。即廃炉にすべき敦賀原発1号機に次ぐポイントの高さである。2桁得点した原発も、美浜原発1、2号機も含め、5基しかないのだ。
なぜ大飯原発1、2号機が危険なのか。評価方法と併せて解説しよう。
まず、評価項目の大部分を占めるのが6点満点で評価された「原子炉の危険度」である。これは「原子炉型・格納容器のタイプ」「経過年数」「事故率」「脆性遷移温度」など5項目で評価。大飯原発1、2号機は、「原子炉の危険度」で5点を叩き出し、全原発中ワースト1位となっているのだ。
氷で冷やすアナログ原子炉
その項目ごとに見ていくと、「経過年数」は大飯原発1号機が32年、2号機が31年。全原発で30年以上経過しているのが15基で、古ぼけているのがわかる。また、「事故率」は大飯原発1号機は年平均1・2回でワースト2位。2号機も年平均1回とワースト4位。
さらに、「脆性遷移温度」という聞きなれない項目で、大飯原発2号機は70度でワースト4位となっている。この数値は、金属の粘りがなくなり衝撃に弱くなる温度で、これが高くなるほど圧力容器の老朽化が進んでいるという指標である。
そんなボロボロの大飯原発1、2号機の「原子炉の危険度」をワースト1に押し上げている大きな要因が「原子炉型・格納容器のタイプ」である。大飯原発1、2号機の原子炉は「PWRアイスコンデンサ型」と呼ばれるタイプだ。
昨年の福島第一原発事故を思い出してほしい。事故直後に「ベント」という作業が行われたことはご記憶だろう。通常、原子炉が溶けだすと、大量の水蒸気が格納容器内にあふれる。すると、格納容器内の気圧が上昇。設計耐圧を超えれば格納容器が壊れる。それを防ぐために、水蒸気を外部に逃すのが「ベント」だ。
福島第一の1〜4号機の格納容器設計耐圧は約4気圧。通常、海面上が1気圧だから、その4倍の圧力でも格納容器は壊れない。ところが、大飯原発1、2号機は設計耐圧が0・84気圧と極端に低いのである。
大飯原発1、2号機は、気圧上昇を防ぐためにアイスコンデンサ方式を使用している。単純に言うと、格納容器周辺に常時1250トンもの氷を格納。事故が起こったら、氷で格納容器を冷やして気圧上昇を防ぐのだ。何ともアナログな対応ではないか。このアナログ方式、実は世界でも同様の格納容器は数えるほどしか存在しない。いわば、「負の世界遺産」とでも言うべきものなのだ。野田総理が、1、2号機を再稼働させなかったのは、せめてもの救いと言える。
一方、大飯原発1、2号機は「地盤等の危険度」では5点満点と全国ワーストを記録している。これは、大飯原発から60キロ離れたところに和布─干飯前沖・甲楽城断層があることが要因となった。政府は、この断層の今後30年以内の地震発生確率を「ほぼ0%」と判断しているのだが‥‥。「地震発生間隔は1000年くらいの誤差は当たり前。阪神大震災を起こした野島断層も、直前の今後30年以内の地震発生確率は0・4%だったくらいです」(地形学の専門家)
政府発表を鵜呑みにしないのは当然なのだ。