スポーツ

天才・武豊「“前人未踏”通算4000勝」を彩ったレース秘話!(2)ゴール後にムチがない…!?

20161006q2nd

 騎手の夢はダービージョッキーになること。しかしそれが簡単ではないのは、天才をして12年を要したことでもわかるだろう。その夢を達成してくれたのが、98年のスペシャルウィークである。この時、武が気にしていたのは当日の天気だけ。雨で馬場が悪くならなければ‥‥と切に願っていたという。

 当日、雨は降らなかったものの、前日の雨で芝は稍重。少し力のいる馬場状態だった。勝負のポイントとなったのは、手応えよく直線に入っての坂下。馬を外に出してくるだろうと見ていると、なんと前にいるエスパシオとダイワスペリアの間を割ってきたのだ。その抜け出す脚の速かったこと。隙間はわずか1頭分しかなく、入るタイミングがワンテンポ遅ければ危なかっただろう。事実、通り抜けた直後にはピタリと閉じていたのだから。

 ゴール後、「あんなところを抜けてくるのだから、武は冷静だ」と思ったが、どうもそうではなかったようだ。ゴール後、ムチを使ってウイニングポーズをとろうとしたが、そのムチがない。直線で追い出した時に落としてしまったのだ。武といえども、冷静でいられないのがダービーというものなのだろう。

 ダービー馬といえば、七冠馬に輝いたディープインパクトを外すわけにはいかない。中でも「神騎乗」だったのは、1冠目の05年・皐月賞。スタートでバランスを崩し落馬寸前に。3馬身ほど出遅れ、さらに3コーナーで安藤勝己のローゼンクロイツにぶつけられた。

「レース後、アンカツには渋い顔をしていました」(競馬関係者)

 2つの大きな不利がありながら、しかも外々を回り、4コーナーでは前に迫っていく。そこからムチを連発すると、前団を置き去るようにかわしていった。坂を上がってからは、ほぼ独り舞台。ゴール手前では手綱を抑えるほどだった。ディープインパクトのベストレースはこれではないか。

 武が不測の事態への秀でた対応力を見せたレースが、シャダイカグラで勝った89年の桜花賞。18番枠に入ったシャダイカグラはゲート内で立ち上がる格好を見せた。これは出遅れるかもしれないな‥‥。そう思っていたら案の定、1馬身ほど出遅れる。場内からは「ワーッ」という悲鳴のような声が上がった。

 だが、武はそうなることを予測していたかのように、馬をすぐ内へと誘導。馬群を縫うようにして追い上げ、最後には先に抜け出していたホクトビーナスを頭差とらえたのである。

兜志郎(競馬ライター)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
フジテレビ第三者委員会の「ヒアリングを拒否」した「中居正広と懇意のタレントU氏」の素性
3
3連覇どころかまさかのJ2転落が!ヴィッセル神戸の「目玉補強失敗」悲しい舞台裏
4
ミャンマー震源から1000キロのバンコクで「高層ビル倒壊」どのタワマンが崩れるかは運次第という「長周期地震動」
5
巨人「甲斐拓也にあって大城卓三にないもの」高木豊がズバリ指摘した「投手へのリアクション」