都民の支持をバックに、「ブラックボックス」にビシバシと切り込むもの言いで好感度を上げている小池百合子都知事。9月28日から都議会が始まると、五輪予算膨張問題でいきなり論戦を展開し、その「雄姿」への注目度は高まるばかり。だが、自身の目の前には「5つの壁」が立ちはだかっていることをご存じかどうか──。
「しょせん、『味方』はいないんだな」
8月2日、小池百合子都知事(64)が2人の人事案を発表すると、自民党都議の間で失笑が漏れた。
「政策立案の助言を行う政務担当特別秘書で側近中の側近に、小池氏が衆院議員時代、00年から01年に秘書を務めた野田数(かずさ)氏(43)と、元読売新聞記者の宮地美陽子氏(39)を任命しました」(全国紙政治部記者)
「小池氏の懐刀」となれば、都連側も素性の見極めに奔走しているかと思いきや、
「調べるまでもありません。野田氏は東村山市議を経て、09年から4年間、都議を務めていた。おまけに12年5月までは自民党所属。都連にとっては旧知の仲でやりにくい面もあるが、逆に能力の『底』を知っています。都連の暗部の一つである『朝鮮総連の補助金問題』に切り込んだことで自民党を離党しましたが、それまでは都連上層部に頭が上がらなかった。小池氏が敵視する『都議会のドン』内田茂前都連幹事長(77)には在任中、歯牙にもかけられませんでしたが、『内田を許さない!!』という走り書きの『遺書』を残して自ら命を絶った樺山卓司元都議とは『反内田』の酒飲み仲間でした」(自民党都議)
12年12月には日本維新の会公認で衆院選に立候補し、落選。その後、アントニオ猪木参院議員(73)の秘書になっている。
野田氏は都議時代から「政治評論家」としても、経済誌「PRESIDENT」などに寄稿しており、さるフリー編集者は、
「数年前、野田氏に雑誌の仕事で会いました。政治的主張は過激ですが、対応は穏便で、人当たりがいい」
ところが一方では、
「都議時代の秘書だった東村山市議が地盤を引き継ぐとされていましたが、『気に入らない』という個人的感情で圧力をかけ、次の市議選への立候補を見送らせた過去があります」(前出・自民党都議)
別の都議も言う。
「偏った極右的思想の持ち主で、情報の判断基準は自分の主義主張。都合のいい話しか小池氏に流していないとされ、重大な情報が伝達されていない、ともっぱらです。綿密に資料を読み込む性格なのですが、自身の判断には絶対の自信を持っているらしく‥‥」
もう一人の宮地氏については、前出・政治部記者がこう解説する。
「読売入社から5年間、甲府支局で警察担当などをしたあと、編成部で10年間、紙面のレイアウト。政治取材の経験はまるでありません。テレビ朝日の現政治部幹部の父親は、小池氏とは旧知の仲で宮地氏とも面識があった。そこで『女性の活躍を後押ししたい』と就任が決まりました。実は当初、宮地氏の夫を起用予定だったんです。産経新聞の記者で政治取材経験もありましたが、現在は介護休職中。『休職中の人間を強引に起用すると批判が起こる』と、任命直前で妻が『代役』に」
本当ならば、何とも安易な起用ではないか。