対都議会、対五輪組織委でメディアが報じる「小池びいき」の論調とは裏腹に、都庁職員の間では早くも「小池離れ」が進んでいる。
「就任当初は我々の間でも『風通しのいい都政を実現してくれるのでは』との期待感が強く、支持者が多かったのですが、ある発言をきっかけに『アンチ小池』が目に見えて増えました」
と証言するのは、40代の女性職員である。
「9月10日の会見で、豊洲の盛り土問題に関する『全都庁の職員を粛正したい』という発言ですよ。小池さんに好意的だった積極支持派が『我々の仕事を熟知したうえで言っているのか』『明らかによけいなひと言』『やる気がいっぺんに失せた』などと立腹していましたね。『都民ファースト』のアピールとはいえ、不快に感じた職員は多かった」
そうした小池氏の「アピール」に振り回されたと苦々しく語るのは広報関係に携わる男性職員である。
「舛添さんの時代と比べて仕事量が激増しました。人気取りパフォーマンスで、我々下っ端の仕事がものすごく増え、疲れ果てました。定期的に出させられるレポートも倍以上になった。これまで仕事終了後に都庁の食堂で同僚とビールを飲むのが楽しみだったんですが、今では同僚も僕もそんな余裕はまったくありません」
ささやかな楽しみを失ったこの職員は肩を落としながら「転職を考え始めました」とタメ息をつくのだった──。
さらには、勤務時間外の苦労が増えた、というボヤキまで。
「都庁の人間だとバレると面倒なんですよ。飲み屋で酔っ払いに絡まれることが増えましたね」(30代の男性職員)
小池都政と絡まれることの因果関係について、この職員が続けて言う。
「何だかんだ言っても小池さんは一般の都民にウケていて、酔っ払ってマネをする人が山ほどいるんです。最近も行きつけの飲み屋で『あなたは本当に都民を第一に考えていますか』って、『小池気取り』の酔っ払いのオヤジにネチネチ絡まれましたよ。職員だとバレないように、仕事の話は小声でするようにしています」
9月29日に小池氏が「東京五輪の競技会場見直し」の考えを示し、森喜朗大会組織委会長(79)を相手に激化する「主導権争い」についても、東京五輪準備に携わる職員からは、嘆きのホンネが噴出していた。
「小池さんの『バトルモード』のおかげで、組織委員会との仕事がやりにくくてしかたありません。招致の時に一緒にやっていた人間が組織委にいるんですが、冗談か本気か『俺らが親しくしゃべっているのを見られたらマズい』と言われましたよ」
「劇場型」のウラで、「小池離れ」はどこまでエスカレートするのか。