社会

50代フリーライター「タクシー運転手」副業は意外とウハウハだった!(1)入社面接で聞かれる特有な質問

20161027z1st

 不景気が長引く中、中高年の新人ドライバーに出くわす機会が増えていると感じている読者も少なくないだろう。フリーライターの後藤豊氏もその一人。副業と業界ウオッチを兼ねてタクシー業界に飛び込むこと1年余り。涙と汗で書きためた「裏乗務」日誌をここに初公開する。

「指見せて。10本あるね。次は背中見せて」

 タクシー運転手の入社面接は開口一番、この言葉で始まった。面接者に背中を向け無垢のキャンバスを披露した瞬間、採用が決定。2週間の二種免許講習を、班長同乗で3出番の研修を受け、独り立ちと相なった。

 実にあっけない新人タクシー運転手の誕生だった。

 フリーライターとしてこれまで25年過ごしてきたが、昨今の不況で仕事減。月のうち10日ほどヒマになったため、背に腹は代えられず、副業でタクシードライバーになったのだ。ただ立場的には、月12勤務の正社員ではなく、正社員の公休日に乗る「スペアドライバー」。シフトは都合しだいでノルマも緩く、私にはぴったりである。

 初乗務の日、出庫するとすぐに道端で妙齢の女性が手をあげていた。

「新宿駅まで」

 と言う妙齢の女性に、

「ご乗車ありがとうございます。××交通の後藤です。ルートは明治通りから新宿通りでよろしいでしょうか?」

 とマニュアルどおりの対応をすると、

「あら、新人さん? それでいいですよ。前は何をしてらしたの?」

 と尋ねられた。そこから会話が弾み、あっという間に新宿駅東口に到着。料金1090円のところ、1200円を差し出された。

「お釣りはいいわよ。嫌なこともあるかもしれないけど、頑張ってね」

 と励まされ、わずかなチップだが、何とも言えずうれしかったのは今でも忘れられない。

 だが、ビギナーズラックよりも失敗がたくさんあった。赤坂見附で手をあげたビジネスマンらしき外国人はいきなり、

「ニューオータニ!」

 と言ってきた。やばい。場所がわからないうえに英語だ。

「ホ、ホワットプレイス!」

 とワケのわからない英語で返すと、

「あの先のホテルです。まっすぐ行ってください」

 と流暢な日本語が返ってきた。ほっとしたような恥ずかしいような複雑な気分に襲われたものだ。

後藤豊(ライター)

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
沖縄・那覇「夜の観光産業」に「深刻異変」せんべろ居酒屋に駆逐されたホステスの嘆き
3
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
4
段ボール箱に「Ohtani」…メジャーリーグMVP発表前に「疑惑の写真」流出の「ダメだ、こりゃ!」
5
巨人が手ぐすね引いて待つ阪神FA大山悠輔が「ファン感謝デー」に登場する「強心臓」