片やメジャーリーグが大金を用意して、てぐすねを引く日本プロ野球界の至宝。片や「男気」の象徴として、球団を超えて畏怖の念を集める200勝男。日本シリーズで激突した両者が選択するそれぞれの「去就」には、ファンには知られていない密約、そして思惑が潜んでいた。その全てを明かす──。
パ・リーグのCSファイナルステージは、日本球界だけでなく世界中に衝撃を与えた。王手をかけた第5戦に「3番・DH」で先発出場した大谷翔平(22)が、9回にDHを解除してストッパー登板。それだけでもサプライズなのに、みずからが持つ164キロの日本最速を更新する165キロを出し、まるで劇画のヒーローのように、マウンド上で日本シリーズ進出のガッツポーズを見せたのだ。だが、大谷が大騒ぎされればされるほど、球団にとっては困ったことになりかねない。
「花巻東高時代にメジャー志向の強かった大谷が一転、日本ハム入団を決めた背景には、2つの密約が結ばれたためとされています。一つは二刀流を認めること。もう一つが、メジャーリーグへのポスティング移籍の容認です。契約にはサイドペーパー、すなわち『密約』が存在し、それは『3シーズン経過後に実質、チーム内FAとなり、そこから先は大谷に選択権がある』というものだと‥‥」(北海道マスコミ関係者)
海外FA権を得るためには、合計9シーズンの一軍登録が必要。それが3年でOKならば、日本シリーズで4年目を終える大谷は、本人が希望すればいつでもメジャー移籍できる状態にあることになる。
そしてその「スイッチ」となるのが、リーグ優勝と日本一だというのである。ヤンキースの田中将大(27)がポスティングでメジャー移籍した際も日本一が置き土産となって、本人、球団ともに納得したという例もある。だがそれが、今オフ直ちに始動するかといえば、
「大谷にはWBCへの憧れがあるんです。尊敬するダルビッシュ有(30)も、12年のWBCでストッパー起用され、胴上げ投手になった。もし、今オフにポスティングでメジャー契約を結んでしまえば、WBCでプレーすることは、ほぼ不可能です。メジャー球団が、まだ1球も投げていない投手に出場を許すはずはないですから。そこでケガでもされたら誰が責任を取るんだ、となりますからね。でも契約前のWBC出場なら、メジャー関係者は大歓迎ですよ。そこが最高の『品定め市』となるわけですからね」(スポーツライター)
大谷は、先だって発表された今秋の親善試合のメンバーにも選ばれ、来年の本番では小久保裕紀監督(45)が二刀流起用も示唆している。もしWBCの舞台で二刀流に成功すれば、メジャー関係者のドギモを抜くことは間違いない。すでに「6、7年契約で150億円から170億円」とも言われる超高値が、どこまで高騰するかわからなくなるのだ。